1. 基本的事項・基本操作 117

 問106:4,問107:2,3,問108:5,問109:3

4.使用済みの骨髄穿刺針
5.圧迫止血に用いた酒精綿

 作問のねらい  検査の過程で発生する感染性廃棄
物は定められた方法で適正に処理しなければならな
い。廃棄物の種類によってバイオハザードマーク収
納容器の色が決まっており,理解しておきたい。

〔注解〕 黄色,赤色,橙色のそれぞれの容器に感染

性廃棄物を収納する。

1.胸水が入った試験管 → 赤色マーク
2.血液が入った採血管 → 赤色マーク
3.血液が付着したガーゼ → 橙色マーク
4.使用済みの骨髄穿刺針 → 黄色マーク
5.圧迫止血に用いた酒精綿(アルコール綿) →

橙色マーク

問 107★★★

【Ⅰ─①─4─G】(ID 2013176)

微生物を含むエアロゾルが発生する操作はど
れか。2つ選べ。
1.微生物検査用容器の輸送と保存
2.検査材料の遠沈
3.白金耳の火炎滅菌
4.分離培地のコロニー観察
5.オートクレーブ終了後の使用済み培地の廃

 作問のねらい  微生物検査は細菌やウイルスなど
の病原性の強い検体を取り扱うことがあり,担当者
の業務感染防止のため,検体(微生物)の取り扱い
方,感染防止,隔離対策などを十分理解する必要が
ある。

〔注解〕 取り扱い中に発生するエアロゾルの吸引に

よる事故には十分注意する。寒天培地への分離操
作,喀痰などの塗抹標本作製,検体均質化のピペッ
ト操作と分注,超音波破砕操作時でもエアロゾルが
発生するので注意が必要である。

1.専用容器による輸送と保存では,エアロゾル

は発生しない。

2.検査材料の遠心操作では,遠心機の内部と外

部で気圧の差が生じ,開封時にエアロゾルが発生す
る。

3.白金耳をガスバーナーの外炎(高温)部に入れ

て火炎滅菌すると,微生物を含む水分が急激に沸騰
し,一部死滅しない微生物が周囲に飛散する。

4.培地上のコロニー観察では,エアロゾルは発

生しない。

5.滅菌後の培地は,インジケーターが適正であ

ればエアロゾルは発生しない。

問 108★★

【Ⅰ─①─5─A】(ID 2014001)

グルコースの検査に使用する血液はどれか。
1.無添加全血
2.シュウ酸加血
3.ヘパリン加血
4.EDTA─2Na加血
5.NaF,EDTA─2Na加血

 作問のねらい  血液抗凝固剤の種類とそれぞれの
使用目的,添加量を十分理解する必要がある。

〔注解〕 抗凝固剤には脱カルシウム作用を持つ

EDTA─2K,クエン酸ナトリウム,フッ化ナトリウ
ムと抗トロンビン作用を持つヘパリンがある。

1.グルコース(血糖)は全血放置すると血球の解

糖作用(酵素:エノラーゼ)によって低下するため,
解糖阻止作用のある抗凝固剤を用いる必要がある。

2.シュウ酸は二重シュウ酸塩(シュウ酸Naと

シュウ酸K)として血球計算に用いられていた。

3.ヘパリンは血液ガス分析や血漿による生化学

迅速検査に用いる。

4.EDTA─2Naは血球計算やアンモニア測定に用

いる。脱カルシウム作用が強く,凝固検査や生化学
検査項目の酵素活性を不活化する。

5.NaFは血球の解糖阻止作用,EDTA─2Naは血

漿による迅速測定のため,抗凝固剤に用いる。

〔関連事項〕全血放置による成分変化,抗凝固剤の

添加量(血液に対する割合),抗凝固剤と適切・不
適切検査項目

問 109★★★

【Ⅳ─2─D】(ID 2016129)

分子ふるい効果を原理とするのはどれか。
1.薄層クロマトグラフィ
2.ろ紙クロマトグラフィ
3.ゲルろ過クロマトグラフィ
4.イオン交換クロマトグラフィ
5.アフィニティクロマトグラフィ

 作問のねらい  2013年にも類似問題が出題され
ている。クロマトグラフィの技術は臨床検査の分野
で広く応用されているので,その原理や目的を確実
に理解しておく。

〔注解〕 クロマトグラフィは,ある物質とある物質
(担体)の親和度が異なることを利用した分離方法

である。

1.薄層クロマトグラフィはガラスなどの板上に

吸着剤を薄膜上に固定した薄層プレートを用いて分
離する。

2.担体であるろ紙に,ある混合物を通過させる

と,混合物中の各物質の親和度が異なるため,移動

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