図1臨床工学の役割1臨床工学技士と安全管理第2編 臨 床 工 学g Clinical Engineerin 医用機器安全管理学ⅣⅣ 術を提供し,医療の信頼性,安全性,経済性,効率などの向上に寄与する。②技術評価:臨床現場に新規に導入される機器,診療支援技術を工学的に(信頼性,安全性,経済性など)評価し,適正な導入に協力する。③保守管理:機器やシステム,使用環境・設備の安全性や性能を確保・維持するための保守・点検・管理を行う。④ME教育:病院内の医療従事者に対して医療機器の取り扱いや安全性に関する知識や技術を教育・訓練する。⑤機器改良:機器や設備,環境の改良・改善のためのデータをメーカにフィードバックし,時には協同してその進歩・発展に寄与する。⑥規格基準:ME機器や病院設備などに関する規格や基準の作成作業に参画・協力する。⑦研究協力:臨床現場における工学技術に対する第2編ME教育規格作成研究協力技術提供技術評価臨床医療保守管理機器改良Ⅳ.医用機器安全管理学549 A 臨床工学技士の役割 「臨床工学技士」の由来である「臨床工学」とは,さまざまな工学的な知識・技術を医療に適応して,科学的根拠に基づいた立場で安全性・信頼性・効率などを確保する「総合管理技術」と定義できる。臨床工学技士は,「医師の指示の下に,生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業とする者」と法的に定義されている。臨床工学技士の具体的な業務は「基本業務指針」にも記載されているが,その根底にあるのは,医療現場における工学者として,患者と操作者の安全を守る「安全管理」を遂行することである。また,医療法において病院・診療所には「医療機器安全管理責任者」をおくことが義務化されている(詳細は「9.関係法規」参照)。厚生労働省の通知によると医療機器安全管理責任者の役割は ①従事者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施 ②医療機器の保守点検に関する計画の策定および保守点検の適切な実施 ③医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集その他医療機器の安全確保を目的とした改善のための方策の実施とされている。これは,「臨床工学」における医療機器の安全管理業務そのものであり,臨床工学技士が医療機器安全管理責任者として最適な職種であることを示している。 近年,臨床工学技士の業務範囲は,病院内のみならず在宅や医療機器メーカ,開発研究分野および行政分野にも広がっている。臨床工学技士の業務をまとめると図1のようになる。①技術提供:臨床医療に操作運用を含む工学的技医用機器安全管理学
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