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1腎臓・泌尿器の役割を調整する役割をもっている。腎疾患ではこうしたさまざまな機能が障害される可能性があり,表1に示すような症状がもたらされる。一方,腎臓で産生された尿は,尿管から膀胱,尿道を通って排泄される。また男性生殖器における疾患も泌尿器科疾患としては重要である。度までは蛋白がみられるが,糸球体障害をきたすと,この尿蛋白が増加する。ネフローゼ症候群では,1日当たりの蛋白尿が3.5 gを超える。 尿蛋白は,試験紙法でも定性的にスクリーニング検査として行われるが,病勢をより正確に反映するのは1日尿蛋白である。蓄尿が望ましいが,クレアチニン(creatinine)とともに測定し,その比をとった尿蛋白・クレアチニン比でも評価可能である。この場合,1 gクレアチニン当たりの尿蛋白が,おおよそ1日尿蛋白の量に等しい。 2 血尿(hematuria) 腎臓から尿管・膀胱・尿道のどの部位の出血も血尿として認められる。スクリーニング検査とし表1 腎臓の機能と障害された場合にみられる症状 腎臓は,老廃物の排泄・電解質濃度の調整といった溶質の濃度の調整,過剰な水の排泄による体液量の調整,さらにはレニン(renin),エリスロポエチン(erythropoietin)などのホルモン産生や,ビタミンDの活性化といった内分泌臓器としての機能ももっている。このように腎臓は,水と水溶性物質の濃度を維持することで,体内環境2腎疾患・泌尿器科疾患の症候・病態生理 腎疾患は,表1に示したようなさまざまな自覚的な症状・徴候を呈する場合もある。その一方,無症状であって,健診などで発見されることも多い。そのなかで,蛋白尿・血尿などの検尿異常は重要な症候である。 A 検査所見 1 蛋白尿(proteinuria) 糸球体では,血漿成分が濾過されるが,正常な糸球体では,血漿中に含まれる蛋白は,分子量による篩ふるい効果(サイズバリア)と,電荷による電気的な反発力(チャージバリア)によって,ほとんど濾過されない。尿中には,1日当たり150 mg程腎臓のもつ機能障害された場合みられる症状高血圧,浮腫,肺うっ血,心不全高カリウム血症,高リン血症クレアチニン値上昇,尿毒症代謝性アシドーシス腎性貧血CKD—MBD,低カルシウム血症第2編 専門科目第2編尿を産生する体液量の調整電解質の調整老廃物の除去必要なものを保持しながらの濾過血尿,蛋白尿酸塩基平衡の維持内分泌機能エリスロポエチンビタミンD活性化754臨床医学総論H.腎臓・泌尿器・生殖器系Ⅴ

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