第2編Ⅰab 生体機能代行装置学あり,両者は近似している。 2 呼吸不全 無気肺,肺炎などでは虚脱肺胞などのため酸素を十分に取り込めず,その結果,PaO2が低下し,低酸素血症,呼吸困難を呈する。このような病態が呼吸不全である。呼吸不全の定義は,「室内空気吸入時の動脈血酸素分圧が60 mmHg以下となる呼吸器系の機能障害,またはそれに相当する異常状態」となっている(旧厚生省呼吸不全調査班,1982年)。なお,動脈血二酸化炭素分圧図1 自発呼吸での胸郭の動きと空気の動き吸気では胸郭が最初に拡張し胸腔内陰圧が増し,肺を拡張しようとする。それによって空気が引き込まれる。呼気では肺,胸郭の弾性で収縮する。(注:矢印で示す胸腔は,実際には肺と胸壁は密着しており,空間はほとんどない)図2 呼吸器系各部の圧力変化安静自発呼吸(a),陽圧式人工呼吸(b)を示す。胸腔内圧は自発呼吸では常に陰圧になっている。PaCO2によって,PaCO2≦45 mmHgをⅠ型呼吸不全,PaCO2>45 mmHgをⅡ型呼吸不全と分類している。さらに1カ月以上続くものを「慢性呼吸不全」としている。 呼吸不全の原因としては肺炎,肺水腫,無気肺,急性呼吸窮迫症候群(ARDS),慢性閉塞性肺疾患(COPD)などがある。これらを病態生理学的にみると,①肺内シャントの増加,②換気血流比不均等分布(ミスマッチ),③低換気,④拡散障害,⑤低心拍出量,となる。なお,⑤は肺外+10cm H2O気道内圧(口元圧)0+10肺胞内圧0+10胸腔内圧0-10200 mL換気量0胸腔(陰圧の程度が増大する)a 吸気吸気呼気吸気胸郭b 呼気吸気+10cm H2O気道内圧0+10cm H2O肺胞内圧0+10胸腔内圧0-10-200 mL0換気量呼気吸気Ⅰ.A.呼吸療法装置349
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