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分泌型ムチン膜型ムチン微絨毛上皮細胞図4涙液層の解剖と水濡れ性低下型ドライアイのシェーマ眼表面のムチンには結膜杯細胞から分泌される分泌型ムチン(MUC5ACが中心)と,角結膜上皮の表面の微絨毛(microvilli)に発現する膜型ムチン(MUC16が中心)とがあり,膜型ムチンが眼表面の水濡れ性に深く関連している。Aqueous Deficient type涙液減少型(Tear Film Instability)Decreased IncreasedWettability type水濡れ性低下型Evaporation type蒸発亢進型DRY EYE上皮の水濡れ性の低下膜型ムチン発現の低下図3ドライアイのサブタイプ5)1231少型,水濡れ性低下型,蒸発亢進型)となっている(後述)。一方,「瞬目時の摩擦亢進」については,「lid-wiper epitheliopathy(LWE)」「上輪部角結膜炎」「糸状角膜炎」「結膜弛緩症」といった眼表面疾患とドライアイの関係性が以前からいわれている。これらは眼表面摩擦関連疾患ともいわれ,これらの疾患がドライアイに合併している場合は,これらの治療を先に行うことが,患者の自覚症状を改善させるためにも重要である。 ドライアイのサブタイプ分類とそれに応じた治療選択ドライアイの病型(サブタイプ)には「涙液減少型」「水濡れ性低下型」「蒸発亢進型」の3つがある(図3)5)。「水濡れ性低下型」は,新しいドライアイの概念であり,涙液の貯留量や蒸発量が正常範囲にある場合でも,角膜表面に水分が保持されにくい状況を意味し,涙液層破壊が生じやすいタイプのドライアイである。角膜上皮の水濡れ性には膜型ムチンが関連しているとされており,水濡れ性低下型ドライアイでは角膜上皮細胞の膜型ムチンの発現が低下していると考えられている(図4)。ドライアイのサブタイプがわかると眼表面のどこに障害があるのかがわかるので,その部分に対する治療法を選択することが可能となる。それがドライアイに対する眼表面の層別治療(TFOT)であり,以前よりわが国から世界に向けて提唱しているドライアイ治療の考え方である6)。層別治療を行うためには層別診断(tear film oriented diagnosis:TFOD)を行うことが重要であり,

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