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*Ichiro MARUKO 丸子一朗*東京女子医科大学眼科学教室1黄斑部毛細血管拡張症(macular telangiecta-sia:MacTel)は,特発性に黄斑部網膜の毛細血管拡張を呈する疾患群の総称である。Gassは本疾患群を特発性傍中心窩網膜毛細血管拡張症(id-iopathic juxtafoveolar retinal telangiecta-sis:IJRT)と命名し,詳細な分類を行ったが1)2),分類が細分化しすぎていて実臨床には則さないとの考えから,Yannuzziら3)は本疾患群を特発性黄斑部毛細血管拡張症(idiopathic macular tel-angiectasia:IMT)と命名し,大きく3タイプに分類した(Yannuzzi分類)。Yannuzzi分類3タイプはそれぞれtype 1:aneurysmal telan-giectasia(血管瘤型),type 2:perifoveal tel-angiectasia(傍中心窩型),type 3:occlusive telangiectasia(閉塞型)と呼称され,現在では広く用いられている。しかし,ここで注意が必要なことは,どの病型も黄斑部毛細血管拡張や毛細血管瘤を伴っているが,病型ごとに病態生理が異なっており,全く異なる疾患である点である。それぞれの病型の特徴としてtype 1は血管障害による血漿成分の漏出等の滲出性変化,type 2は網膜外層の萎縮性変化,type 3は特発性の血管閉塞変化である。そのなかでtype 2は欧米では患者数が多いが,本邦では比較的まれな疾患であるため,疾患に関する理解が進んでおらず,その眼疾患のガイドラインと診療指針解説とアップデート1345診断に苦慮することも多い。そこで,厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班を中心に黄斑部毛細血管拡張症2型(MacTel type 2)の診療ガイドラインの作成が行われた。MacTel type 2の診断においては,両眼性に,中心窩耳側から中心窩にかけての神経網膜の器質的な障害を種々の検査で捉えることが診断に有用であるが,病期により所見は異なっていること,それぞれの所見が微細な変化であるため,診断には複数種の画像を組み合わせて行うことが有用である。典型例では黄斑部の網膜透明性低下,灰色の変色,クリスタリン様沈着物が観察され(図1),進行例ではright-angle venuleや色素沈着が観察される。また,フルオレセイン蛍光眼底造影(FA)では初期から黄斑部の毛細血管拡張や淡い蛍光漏出がみられ(図2),進行して網膜下新生血管(SRN)を生じると強い蛍光漏出を示す。GassならびにBlodi1)2)はFA所見で5つのステージに分類しているが,やや複雑なため,YannuzziらはSRNを伴わない非増殖期(nonproliferative stage)とSRNを伴った増殖期(proliferative stage)との2つに分けている3)。一方で,光干渉断層計(OCT)は本疾患では最も重要な検査で内容の解説黄斑部毛細血管拡張症2型 診療ガイドライン(第1版)20

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