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71RL2(単位mm)①PA②PTS③MRD④LF⑤BH⑥LL⑦LCPalpebral Aperture:瞼裂高Pretarsal Show:開瞼時重瞼幅Margin Reflex Distance:瞼縁角膜反射間距離Levator Function:挙筋機能Brow Height:眉毛高Lid Length:眼瞼長Lid Crease:重瞼線高手術の所要時間は片側で30分弱であるため,両側で1時間半程度までとしている。予定まで挙上できなくとも視野は改善していること,短時間で終えたうえで必要があれば再手術に賭けたほうが良い結果を得やすい印象を持っていることがその理由である。長時間の手術になった症例の再手術は強い瘢痕形成から極めて難しい。術前の外眼部の評価一般的に測定される項目はMRDと眼瞼挙筋機能(levator function:LF)の2つである。MRDは診断および下垂の程度,LFは下垂の原因の推測および術式の決定に利用されるが,筆者はこの2項目では不足と考える。眼瞼下垂手術の第一義的目的は機能の改善であるものの,患者の満足度を上げるには前述のごとく整容的改善も得なければならない。しかし,上記2項目は主に機能評価であるため,術後の整容を予想することはできない。さらに,腱膜性眼瞼下垂の原因は加齢現象であることが多いため,必然的に合併比率が高くなる皮膚弛緩症の評価も術前から必要となる。眼瞼下垂と皮膚弛緩症は表裏の関係にあるため,眼瞼下垂の術後には皮膚弛緩症が顕在化し,機能面のみならず整容面にも問題を生じることはよく経験する。以上より筆者はさらに5項目を追加した7項目を術前評価および術後結果の予想,術式の決定に利用している。筆者が行ってきた外眼部の測定 (村上式チャート:図1〜3)筆者は,瞼裂高(palpebral aperture:PA),開瞼時重瞼幅(pretarsal show:PTS),瞼縁角膜反射間距離(margin reflex distance:MRD),挙筋機能(levator function:LF),眉毛高(brow height:BH),眼瞼長(lid length:LL),重瞼線高(lid crease:LC)の7項目を測定している(筆者独自の定義や造語が含まれる)4)。簡単に解説すると,PA値はMRDと連動するため眼瞼下垂症例では小さくなるが,下眼瞼の弛緩(下眼瞼下垂)があると大きくなる。PTS値は眼瞼下垂症例では大きくなり,BH値とも連動する。筆者は1〜2mm程度が自然で,3mmを超えると若干眠い印象に感じるが,主観的であり評価は分かれる。MRD値は当然ながら眼瞼下垂症例では小さくなる。LF値は筆者の経験によると13mm程度が平均であり,腱膜性眼瞼下垂の多くはその平均値前後を示す。ただし,腱膜性眼瞼下垂であっても重症例では腱膜の高度の伸展などにより,見かけ上は低下していることがあるため,LF値の低下がすべて先天性や筋・神経原性の眼瞼下垂ではなく,前頭筋吊り上げ術の適応を意味図1眼瞼下垂および皮膚弛緩症で使用するチャート(村上式チャート)4)1095術前のチェックポイント

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