状況整理と準備核・皮質吸引方法の選択入方法の選択21)超音波中の後嚢破損 IOL 挿手術操作を止めて(器具を動かさず)状態確認追加麻酔・眼粘弾剤・硝子体カッターと灌流ポート・硝子体染色液核が残存ビスコエキストラクション輪匙による■出後囊破損が小さい破囊部の正円化IOL囊内固定後囊破損3P IOLの準備を指示皮質が残存硝子体脱出(+)硝子体カッターで皮質吸引後囊破損が大きいCCCが完全3P IOL光学部キャプチャ硝子体脱出(ー)皮質吸引針で皮質吸引CCCが不完全IOL強膜内固定表1後嚢破損発生時の考え方核・皮質吸引方法の選択小さい核片が残っているときは,眼粘弾剤を利用したビスコエキストラクション法による残存核娩出の侵襲が少ない。創口を6mm程度拡大する必要がある。ビスコエキストラクション法には凝集型眼粘弾剤を使用し,まず残存核を前房中虹彩前面に持ち上げ,娩出しやすいように拡大した創口付近まで核片を移動しておく。このときに残存核の幅広い面を創口に向けると排出しにくいので,方向を考えるか鑷子で潰して小さくしておく。眼内に残存した核片よりも創口から遠い方向より注入を開始し,創口を鑷子で持ち上げ,拡大した創口をビスコ針で押し下げることで粘弾性物質が眼外に排出される流れを利用して残存核片を排出する。大きな核片が残っている状態で後嚢破損が生じてしまった場合,輪匙を使用して娩出すると効率が良い。核娩出前に分散型眼粘弾剤を角膜と水晶体の間に注入し角膜内皮障害を予防する。硝子体が核に絡んでいるときは硝子体切除の必要があるが,硝子体腔の硝子体を切除しすぎると核落下を生じる。無硝子体眼や高度近視,超高齢者では硝子体が液化し,核落下が生じやすい。眼球が虚脱して核娩出が困難なときは,灌流ポートを作成すると灌流液の力で大きな核片も簡単に眼外へと排出できる。2)皮質吸引時の後嚢破損皮質吸引時の後嚢破損は,早く気がつけば簡単に対処できる。破嚢に気づいた時点で慌てず,後嚢破損の位置・大きさを観察しつつ,残存皮質の吸引方法を考える。創口下の皮質など部分的に残っている場合は,バイマニュアル法に変更することで,硝子体脱出を防ぎながら残存皮質の吸引が可能である。この場合,I/Aハンドピースの吸引のみ外して皮質吸引針につなぎ直すと,前房内圧を変動させずに後嚢破損を広げず皮質吸引が可能である。皮質吸引後IOL挿入までに前房虚脱969
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