避妊(予期せぬ妊娠への対応)2 ECを適正に使用するためには,図3に示したアルゴリズムを熟知しておく必要がある。なお,ここに紹介したアルゴリズムには,Cu-IUDにとどまりIUSの記載がないことから,本文では筆者の判断でこれを付記した。① 必要な情報を聴取した後,ECを必要とするならば,妊娠経験の有無を尋ね,今後しばら2.緊急避妊法必要なしOCなど確実な避妊法の選択を勧める力に影響が及ぶことはない。6.Cu-IUD/IUSを緊急避妊法として使用する WHOは,ECとしてCu-IUDをUPSIから5日以内に挿入することを推奨している。Cu-IUDをECとして使用するメリットは,妊娠が回避されたことを知った後には,5年間ほど通常の避妊法として継続できる点である。UPSI後120時間以内に挿入されたCu-IUDは妊娠阻止率が99%と極めて高い。また,最近ではIUSについてもCu-IUD同様,ECとして使用意義のあることが報告されている6)。場合図3 緊急避妊法選択のアルゴリズム産婦人科の実際 Vol.71 No.10 2022妊娠経験ありCu-IUD の装着希望ありCu-IUD の装着次回月経以降の受診を勧める定期検診EC:緊急避妊法 ECP:緊急避妊薬 OC:低用量経口避妊薬 Cu-IUD:銅付加子宮内避妊具緊急避妊法(EC)を必要とするか?必要ありCu-IUD の装着希望なし妊娠経験なしECP服用次回月経まで性交を待てる次回月経まで性交を待てない3週間後の来院OCを翌日から服用OCなど確実な避妊法の選択を勧めるmass index;BMI)が30 kg/m2を超える肥満女性では,BMIが25 kg/m2の女性に比べて効果が減弱する可能性があるが,健康上のリスクはないので,肥満という理由でECの提供を拒んではならない。 とはいえ,ECPを通常の避妊法のように使用する女性がいないとは限らない。このような場合には,何が問題なのかを含めて,繰り返しカウンセリングが必要である。ECPの反復服用で健康上のリスクが高まるわけではないが,月経周期の不順が起こりうる。 ECPの使用に際してのカウンセリングは,より確実な避妊法へとスイッチさせられるかどうかが極めて重要である。5.ECの安全性 ECP服用に伴う副作用は,OCの副作用と同様で,悪心・嘔吐,少量の不正出血,易疲労感などであるが,症状は治療を必要としないほどに軽微である。ECP服用2時間以内に嘔吐した場合には追加服用が必要となるが,ECP服用前に制吐剤を投与することは推奨されない。また,ECPを服用したからといって,将来の妊孕(文献9より)(209)1229ⅩEC選択のアルゴリズム9)
元のページ ../index.html#9