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Q 膵液漏の対処方法は?Q 脾静脈など血管損傷時の対処方法は?Q 脾臓損傷の予防方法は?Q 膵液漏の予防は? 進行卵巣癌治療において,初回手術時の腫瘍減量手術(primary debulking sur-gery;PDS)においても,術前化学療法(neoadjuvant chemotherapy;NAC)後の腫瘍減量手術(interval debulking surgery;IDS)においても,手術にて肉眼的残存腫瘍なし(完全切除)の状態になしえたかどうかが最も大きな予後因子である1)。PDSにおいては,次善の策として,残存腫瘍の最大径を1 cm未満(optimal)にすることで予後の向上が期待できるとの報告が多い。 上腹部まで腹膜播種をきたしている進行卵巣癌に対して完全切除を目指すのならば,上腹部病変の摘出は非常に重要な手技である。最近,横隔膜ストリッピング・部分切除については産婦人科内で施行する施設が増えてきている印象があるが,脾臓摘出術や膵尾部切除術については消化器外科医らに入ってもらってお願いする,という施設が多いと思われる。その場合であっても,上腹部病変をどこまでどのような形で切除するのかなど,進行卵巣癌手術のマネジメントは主治医である婦人科腫瘍医が行うべきであると考える。患者の年齢や全身状態や合併症などに鑑みて,完全切除を目指すのか,optimal surgeryを目指すのか,どこまでの手術侵襲を加えることで完全切除を達成できるのか,術後抗がん薬治療がスムーズに行える程度の手術侵襲であるのかなどを婦人科腫瘍医が術中に判断することが求められる。そのためには,上腹部の解剖,上腹部手術の手技,合併症などに関して,ある程度の知識は必要である。産婦人科の実際 Vol.72 No.12 2023* K. Kato 北里大学医学部産婦人科1359加藤一喜*子宮頸癌子宮体癌卵巣癌外陰癌腟癌その他は じ め にuestion脾臓摘出術・膵尾部切除術

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