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卵巣癌門脈総肝動脈脾静脈脾静脈膵臓膵臓上腸間膜静脈左胃動脈脾動脈左胃大網動脈下腸間膜静脈上腸間膜動脈脾臓摘出術・膵尾部切除術脾臓込んで走行しているが,膵尾側では浅くなって走行する。 われわれは,進行卵巣癌に対する初回手術において,横隔膜播種など上腹部病変を切除する場合は,恥骨結合上縁から臍を通り,剣状突起に至る上下腹部正中切開をおいて行っている。この切開で(横切開や季肋下切開などを加えることなく),脾臓摘出術・膵尾部切除術も,安全に確実に遂行することが十分に可能である。 上腹部の良好な術野の視野展開に努めるため,骨盤腔内の手術で通常使用しているOmni-Tract開創器を上腹部に移動させ使用することが多いが,Kent式牽引鉤などの吊り上げ鉤を用いて上腹壁の牽引を行う場合もある(図3)。 卵巣癌手術において脾臓摘出術が必要となる場合は,脾門部に播種腫瘍があり,この病変を切除するためであることが多い。脾門部の播種腫瘍が膵尾部を巻き込み,さらに背側へ左腎前面の脂肪組織にまで浸潤を認めることがある。また,脾門部の播種腫瘍が結腸を巻き込むことがある。病巣の進展を視触診で確認しながらどの層で切離していき,どの臓器を合併切除すべきか,手術操作を進めながら婦人科腫瘍医のマネジメントのもとで術者が決めていく必要がある。1)胃脾間膜の処理 胃大彎に沿って大網(胃脾間膜)付着部を処理し,脾門部周囲の大網を脾臓に付ける形で切離する(図4)。胃脾間膜の処理において,脾動脈の末端から分枝し,胃脾間膜産婦人科の実際 Vol.72 No.12 2023図2膵臓・脾臓周囲の動脈・静脈の解剖13612脾臓摘出術・膵尾部切除術の実際

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