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Kent 式牽引鉤Kent 式牽引鉤胃胃図3Kent式牽引鉤と開創器をかけて上腹部手術を開始する。肝臓脾臓横行結腸横行結腸の層の中を通り胃大彎に向かう短胃動脈を何本(通常5本くらいある)か処理することになる。網囊内に入り,膵臓体尾部前面を確認できる。 <注意点>  脾門部の播種腫瘍は,大網に浸潤していることが多い。胃脾間膜は大網から連なっているので,本術式における胃脾間膜の処理は播種腫瘍に切り込まないように切除ラインを取ろうと胃壁ギリギリで行うことが多い(というか,筆者は卵巣癌手術における脾臓摘出術では胃壁に沿った処理しか行ったことがない,脾臓に近接した胃脾間膜の処理をしたことは1例もない)。2)結腸脾彎曲の授動 脾臓下極と結腸との間を分離するために,脾結腸靱帯を結腸に沿って切離し,結腸脾彎曲を授動する。脾門部の腫瘍が結腸を巻き込んでいる場合は,結腸を一部合併切除する必要がある。3) 脾臓の脱転 脾臓を内前方に牽引しながら,脾臓外側の後腹膜から脾臓を切離していく(図5)。この脾臓外側縁に沿った切離を脾の上極まで進め,横隔膜から脾臓を剝離する。この操作により脾臓を腹側に脱転することが可能となる。脾門部の播種腫瘍が膵尾部から,さらに背側へ左腎前面の脂肪組織にまで浸潤している場合は,腎筋膜前葉に切開を加え,腎前面の脂肪組織を切除側に含める(左腎臓前面が露出することになる)ことで腫瘍に切り込むことなく切除が可能となる。1362

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