040252023115T
3/18

Q 肥満症例における手術は,何が難しいのか?1236* E. Kondo 三重大学大学院医学系研究科産科婦人科学(准教授)近藤英司* WHOの報告によると,2010~2016年でBMI 25≧の過体重は10億人から19億人,BMI 30≧の肥満は3億人から6.5億人に増加している。2017年にはBMI 25≧の過体重もしくは30≧の肥満により400万人以上の患者が亡くなっている。肥満の割合は増加し続けており,1975年から2016年には5~19歳で4%から18%と世界的に増加し,問題となっている1)。 一方,わが国での厚生労働省の平成30年(2018)「国民調査・栄養調査」による「肥満およびやせの状況」はBMI 25≧の割合は男性32.2%,女性21.9%であり,この10年間では,男女とも有意な増加はみられない2)。 肥満合併子宮体癌患者は生活習慣病を合併している頻度が高く,閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea;OSA),肥満低換気症候群(obesity hypoventilation syn-drome;OHS),高血圧,糖尿病,メタボリック症候群,腎障害のリスクが高く,術前に循環器・呼吸器などを健常者に比べて慎重に検査すべきである。 子宮全摘術は女性の生涯において帝王切開手術に次いで2番目に多い手術手技3)であるといわれている。肥満患者が増加しており,肥満合併婦人科疾患の子宮全摘術に対してはロボット支援手術が今後さらに増加すると予想される。しかし,わが国では腹腔鏡手術とロボット支援手術の保険点数は同じである限り医療費としてはロボット支援手術はやや高い。これに対して,カナダからKosaら4)の報告ではBMI≧40の高その他子宮頸癌子宮体癌は じ め に1諸外国の肥満合併患者の子宮全摘術の報告uestion卵巣癌外陰癌腟癌肥満症例のロボット支援子宮全摘術

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る