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Q “隅角”とよばれる部位は解剖学的にはどのように説明できるのか?Q 膀胱子宮帯の神経の走行は?1285*K. Chikazawa 自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科 本稿では,広汎子宮全摘術を行うにあたり,知識として必要な解剖について記載する。系統解剖学の記載ではなく,広汎子宮全摘術が進行していくにあたりその都度必要になる手術解剖,一般的な広汎子宮全摘の過程を追いながら見える術野の解剖について触れていく。1)基帯の周りの腔の展開膀胱側腔 内側:側臍靱帯,外側:内閉鎖筋,尾側:肛門挙筋,頭側:基靱帯Lazkoの直腸側腔 内側:尿管下腹神経筋膜,外側:内腸骨動脈,頭側:基靱帯岡林の直腸側腔 内側:直腸固有筋膜,外側:尿管下腹神経筋膜,頭側:基靱帯1)●腔の展開のメリットは? 郭清のとき,血管損傷や,静脈からの小枝の引き抜きのとき,即座に止血を行うことができる。また,大まかな解剖の全貌が掴みやすくなり,手術の切離ラインが描きやすくなる。癌からどれくらいマージンをとるかを決めやすくなる。 手術の一番最初に,上記の腔の展開が必要になる。この腔を開くことで,術者は自分が子宮からどれだけ離れて,各種靱帯を切断するかを決定することができる。これが広汎子宮全摘術が子宮頸癌手術で行われるゆえんであり,腫瘍からどれだけマージンをとって子宮を摘出するか(例:右は浸潤側だから神経を含めて広くとる,左は非浸潤側だから神経を温存するラインでとるなど)を自在に変えることができる(図1)。2)膀胱子宮間隙,直腸子宮間隙の腔の展開 膀胱子宮窩・直腸子宮窩を広汎子宮全摘術では開放する。いずれも肛門挙筋裂肛で産婦人科の実際 Vol.72 No.12 2023近澤研郎*子宮頸癌子宮体癌卵巣癌外陰癌腟癌その他uestionは じ め に広汎子宮全摘術に必要な解剖

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