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広汎に必要な腔の展開は,平滑筋を介して接合しており,その周囲では剝離可能層が消失した無構造領域になる(図2)2)3)。尿道側のほうが,剝離可能層が早く,頭側で消失する。無意識で剝離を行い,子宮全摘をすると腟は後壁のほうが長く取れてしまうのはこれが理由の1つである。 この周囲では,剝離はImaginary lineで行われる。膀胱損傷や尿道損傷のリスクがあり,特に腟を長く取るⅡA期や,悪性黒色腫の腟全摘術では,直腸診察や,腟に自在鉱を入れ,慎重にラインを決める必要がある。腟壁に浸潤する子宮頸癌の手術適応がⅡAまでとなっているのは,それより尾側まで浸潤した場合に腟を取るのが剝離層のないエリアの手術を余儀なくされる,という上記の理由により難しくなるからと筆者は考えている。3)骨盤リンパ節郭清 膀胱下腹筋膜が重要である。この筋膜は側臍靱帯から起こり,膀胱を外側から覆う。膀胱側腔を開放するときに,この筋膜の外側の脂肪はすべて郭清する(図3)。実際の手技は他稿を参照されたい。筆者の解剖に基づいた骨盤郭清は動画論文で見ることができる4)。4)基帯の解剖 外側リンパ節郭清(外腸骨・内外鼠径・総腸骨節)を行い,内側リンパ節郭清(仙骨・内腸骨・基靱帯節)を郭清すると,基靱帯血管の構造が明らかになる。どこで切るかを調節できる図1膀胱子宮靱帯膀胱子宮直腸岡林の直腸側腔新膀胱側腔側臍靱帯基靱帯内腸骨動脈Lazkoの直腸側腔仙骨子宮靱帯尾側右1286

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