040252023115T
8/18

子宮頸癌剝離層がない空間産婦人科の実際 Vol.72 No.12 2023広汎子宮全摘術に必要な解剖1287図2側臍靱帯膀胱下腹筋膜図3膀胱子宮窩・直腸子宮窩膀胱下腹筋膜 過去の書籍には基靱帯の血管部・神経部と記載され,血管部の背側がそのまま神経のような記載がある。しかし,加藤らの検討によりそれは否定されており,実際,骨盤内臓神経はもっと背内側からきていることがわかっている5)(図4)。 基靱帯の中身は円靱帯や仙骨子宮靱帯のような硬い靱帯構造ではない。浅部から子宮動脈・浅子宮静脈・深子宮静脈の順に深部へと,内腸骨動静脈から枝を伸ばす血管群が脂肪の中に埋まっている。これらが,膀胱側腔と直腸側腔を開放して基靱帯を一括切断していた時代に,靱帯と呼称されていた。腔を開け,あいだに索状にしたものを靱帯と呼称していた。 深子宮静脈は静脈であるため,variationが多い。2本あることもあれば,欠損することもある1)。その背側の腟へとつながる動脈の尾側に存在することもあり,その場合は安全に基靱帯操作を行うため,筆者は腟への動脈も切断している(図5)。

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る