エストロゲン投与量 図3 少量エストロゲン療法の実際1414行中の患者の効果判定のために必要に応じてE2を測定することが勧められている。甲状腺機能検査は甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimu-lating hormone;TSH),fT3,fT4を年1回実施,甲状腺機能低下が疑われた場合には抗甲状腺抗体を測定して内分泌内科にコンサルトしている。3●婦人科検査 超音波検査はHRTの効果のモニタリングとして,子宮の成長を確認するために思春期では年1回程度実施している。骨密度測定も初診時に行い,低骨密度の場合はHRTを実施しながら十分な骨量を獲得できるまで年1回程度測定する。成人以降は問題なければ5年に1回程度実施している。4●その他の検査 聴力検査は5年に1回,腎臓超音波検査は高血圧や尿路感染が疑われる場合に実施が推奨されている。心臓の超音波検査は,初診時に実施後は5年に1回,胸部MRIは初診時に1回,そして挙児希望となったときに妊娠前スクリーニングとして実施することが推奨されている2)。エストロゲン補充療法6~12カ月ごとに段階的に増量1/2量1/4量1/8量12~15歳身長140cmかつFSH上昇3カウフマン療法プロゲスチン製剤成人量成人量で6カ月または破綻出血年齢治療・処方の実際1●ホルモン補充療法(HRT) a)エストロゲン補充 TS女性の約1/3に思春期徴候が,約20%に初経が認められ,自然妊娠の可能性は10%程度とされている3)。HRTはPOIとなる症例が適応になるが,導入にあたってはPOIの診断とHRTの開始時期が重要である。8~9歳から黄体形成ホルモン(luteinizing hormone;LH),FSH,AMHを測定し始め,FSH値>6.7 IU/l 5),AMH<4 pmol/lなどを目安にPOIを診断することが推奨されている6)。 TS女性におけるHRTによる思春期の誘導の目標は,自然の第2次性徴に近いテンポで再現することである。開始時期については,11~12歳の時点で思春期徴候がなくFSHの上昇を複数回確認したら始める2)。投与法は少量のエストロゲンから段階的に投与量を増やしていく。通常,成人量の1/8から開始し,6~12カ月ごとに段階的に成人量に達するまで増量する7)(図3)。その理由としては,第2次性徴におけるエストロゲンの生理的な増加に近づけること
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