●文献 1) 日本産科婦人科学会(編):産科婦人科用語集・用語解説集 改定第4版,p238,2018 2) Gravholt CH et al:Clinical practice guidelines for the care of girls and women with Turner syndrome. Eur J Endocrinol 190:G53-G151, 2024 3) Pasquino AM et al:Spontaneous pubertal development in Turner’s syndrome:Italian Study Group for Turner’s Syndrome. J Clin Endocrinol Metab 82:1810-1813, 1997 4) Dabrowski E et al:Turner syndrome with Y chromosome:spontaneous thelarche, menarche, and risk of malignancy. J Pediatr Adolesc Gynecol 33:10-14, 2020 5) Hankus M et al:Prediction of spontaneous puberty in Turner syndrome based on mid-childhood gonadotro-pin concentrations, karyotype, and ovary visualization:a longitudinal study. Horm Res Paediatr 89:90-97, 2018 6) Lunding SA et al:AMH as predictor of premature ovarian insufficiency:a longitudinal study of 120 Turner syndrome patients. J Clin Endocrinol Metab 100:E1030-E1038, 2015 7) 田中敏章ほか:日本小児内分泌学会薬事委員会 ターナー症候群におけるエストロゲン補充療法ガイドライン.日児誌112:1048-1050,20081416症例 説明の実際 ① 小児科で思春期を誘導するために開始されたエストロゲンの効果で第2次性徴や子宮の成熟,骨量の獲得がある程度得られていますが,最終目標である成人レベルからするとまだ途上にあります。患者への説明ポイント 11歳時に小児科でTSと診断され,成長ホルモン(growth hormone;GH)投与を開始。甲状腺機能低下もありレボチロキシンナトリウムの内服を開始。14歳時からE2の補充を貼付薬で成人量の1/16より開始,徐々に増量して16歳時に成人量1/2まで増量した。同時期にGH投与が終了したため,以降のフォローを婦人科へ移行することを目的として17歳時に紹介受診となった。 初診時所見は,身長148 cm,体重47.1 kg,Tanner分類B2 PH2,子宮長径2.9 cm(経腹超音波),腰椎骨密度0.712 g/cm2 Z-score -3.6(DXA法,L2-4)だった。診察結果,検査所見からE2貼付薬を成人量に増量した①。6カ月後に子宮長径は62 mmに増大し内膜も確認できた。腰椎骨密度は0.736 g/cm2 Z-core -3.4と増加した。この時点で,黄体ホルモン剤MPAを追加して周期的投与に変更した②。 現在の女性ホルモンの量は成人量の1/2で,すでに1年経過しています。先ほど説明した結果からすると,エストロゲンを成人量と同等に増量して,さらなる成熟を促す時期だと考えます。② エストロゲンを増量して6カ月で子宮は増大し,骨密度も増加しました。子宮は月経を起こすのに十分に成熟したので,月経を起こすために黄体ホルモンを追加して今まで使っていたエストロゲンと併用します。エストロゲンを20日間,黄体ホルモンは20日のうちの後半の10日間併用し,その後休薬します。薬を飲んでいる間に月経になります。これを毎月繰り返して月経周期を作ります。
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