閉経前閉経後3年閉経後2年閉経後1年後期閉経移行期前期閉経移行期1462 腟萎縮を有する閉経後女性では通常,外陰部にも萎縮がみられる。恥毛は薄くなり,外陰部の皮膚は乾燥して弾性を失っている。大陰唇は脂肪が減少して下垂し,小陰唇は矮小化してときに左右で癒合する。尿道カルンクルがみられることも多い。腟は短くかつ腟口は狭小化しており,診察には小さな腟鏡を用いる必要がある。腟鏡診を行うと,腟粘膜は乾燥しており,蒼白ななかに点状出血が観察される。腟壁特有の皺がみられなくなり,弾性も消失している。主訴が性交渉などの接触に伴う出血であれば血性帯下がみられるが,腟鏡診自体が菲薄化した腟粘膜を刺激して出血する場合もある。細菌性腟症を合併して黄白色~緑黄色の帯下を伴うことも多い。子宮腟部は萎縮し,腟円蓋が消失している。(%)50403020100全身的なエストロゲン投与の禁忌にあたるyes局所的ホルモン療法更年期障害や閉経後骨粗鬆症の治療を同時に必要とするnonoyes局所的ホルモン療法全身的ホルモン療法 図1 腟乾燥症状を自覚する女性の割合(%) 図2 萎縮性腟炎の治療方針(文献3より引用)検査の進め方 病歴聴取後に視診・腟鏡診でこれらの所見が得られ,かつ前述のように子宮頸部腫瘍・子宮体部腫瘍などが除外されれば外陰腟萎縮と診断することが可能であるが,以下のような検査も診断の一助となりうる。1●腟分泌物pH検査 腟内は酸性化しており,腟分泌物pH検査を行うと5以上になる。2●細胞診 萎縮状態にある腟粘膜を擦過して鏡検を行うと,傍基底型重層扁平上皮細胞が多くみられる一方で,表層型扁平重層扁平上皮細胞はほとんどみられない。このことは,重層扁平上皮が菲薄化し,相対的に傍基底細胞層が厚くなった状態を反映している。腟擦過細胞の成熟度指数
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