症候からの鑑別診断1●腟分泌物の鏡検 スライドグラスに生食1~2滴を滴下した所に腟分泌物を混ぜて検鏡する(wet mount)。腟上皮細胞,clue cells(腟上皮細胞に無数の細菌が付着して細胞辺縁が不鮮明になった状態),白血球を見る。真菌の胞子や仮性菌糸,腟トリ問診婦人科的診察子宮・付属器の異常発熱,下腹部痛外陰・腟粘膜の異常子宮頸管炎の所見(子宮腟部の発赤や頸部からの排膿)病因Gardnerella Vaginalisや嫌気性菌などが関係帯下増加,下腹部痛,不正性器出血など灰色特になし≧5.0Clue cell,乳酸桿菌の減少と他の細菌の増加主な症状分泌物炎症所見腟内pH鏡検性行為伝播ありなし潰瘍,腟内異物萎縮性変化なし発赤なし腟分泌物の評価(鏡検,pH 測定,10%KOH 添加,グラム染色,培養)Candida albicansCandida glabrataなど掻痒感,帯下チーズ状,粥状腟壁発赤,外陰炎所見<4.5カンジダ(胞子,仮性菌糸),上皮,白血球増多多くない・子宮内膜炎,子宮付属器炎, 骨盤内炎症性疾患を念頭におく・必要に応じ悪性疾患の検索生検,異物除去GSM(萎縮性腟炎)を念頭におく細菌性腟症,外陰腟カンジダ症,腟トリコモナス症を念頭におくクラミジア/淋菌核酸増幅法帯下は多量でときに強い悪臭,掻痒感淡膿性,泡沫状,量:多腟壁発赤≧5.0腟トリコモナス,白血球増多あり腟トリコモナス症Trichomonas vaginalis 図1 帯下異常の診察の流れ 表1 帯下異常を呈する頻度の高い疾患細菌性腟症外陰腟カンジダ症9.帯下異常(文献4より作成)産婦人科の実際 Vol.73 No.11 20241157コモナス原虫の有無と量,細菌では乳酸桿菌の有無が重要である。2●pHの測定 pH3~6が測定できる試験紙を用いる。3●アミンテスト(Whifftest) 腟分泌物に10%KOH液を混ぜ,アミン臭(魚Ⅰ
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