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1659┃表5┃手術別の術中汚染菌と予防抗菌薬の選択臓器心臓,血管乳腺,ヘルニア(鼠径など),脾骨,関節,筋脳,神経眼,眼付属器(涙道を除く)臓器上部消化管(食道,胃,空腸)下部消化管(回腸,結腸,直腸,肛門)口腔,咽頭,喉頭耳,鼻腟・子宮涙道臓器尿道,膀胱,尿管,腎,前立腺**隣接消化管常在菌による術前からの尿路(尿),前立腺,胆道(胆汁)へのcolonizationの可能性や,当該手a.皮膚常在菌のみを予防抗菌薬のターゲットとする手術領域心血管外科一般外科整形外科脳神経外科眼科b.皮膚常在菌に加え,臓器特有の常在菌を予防抗菌薬のターゲットとする手術ターゲットとする臓器特有の領域消化器外科(消化管)泌尿器科(消化管利用)耳鼻咽喉科(口腔を開放),口腔外科耳鼻咽喉科(口腔を開放しない)婦人科眼科c.臓器には常在菌は存在しないが,隣接する消化管(口腔・咽頭,十二指腸,小腸,大腸)の常在菌**を予防抗菌薬のターゲットとする手術領域泌尿器消化器外科(肝胆膵)肝,胆嚢,胆管,膵胸部外科(気道が胸腔内で開放される場合)肺,気管 *皮膚ではコアグラーゼ陰性ブドウ球菌,下部消化管では腸球菌が主な常在菌の1つであるが,予防抗菌薬によるカバーは行わない。術の術中操作において隣接消化管常在菌が術中汚染菌となる可能性が考えられる。ターゲットとする皮膚常在菌*黄色ブドウ球菌,連鎖球菌常在菌*大腸菌,肺炎桿菌Bacteroides fragilis(B. fragilis)グループ,腸内細菌科細菌口腔内嫌気性菌,連鎖球菌黄色ブドウ球菌,連鎖球菌B. fragilisグループ,腸内細菌科細菌黄色ブドウ球菌,連鎖球菌隣接する消化管の常在菌腸内細菌科細菌腸内細菌科細菌口腔内嫌気性菌,連鎖球菌〔文献1)より引用改変〕主な予防抗菌薬CEZ,SBT/ABPCなど主な予防抗菌薬CEZなどCMZ,FMOX,CEZ+MNZなどSBT/ABPC,CMZ,FMOXなどCEZなどCMZ,FMOX,CEZ+MNZなどCEZなど主な予防抗菌薬CEZ,CTM,SBT/ABPC,アミノグリコシド系薬などCEZ,CTMなどSBT/ABPCなどよるシャワー浴が推奨されているが,日本では同薬の粘膜面への使用は禁忌のため,実施する場合には十分な観察と注意が必要である。このクロールヘキシジン浴は,2018年のWHOのガイドライン3)では,推奨されておらず,石鹸もしくは抗菌石鹸の使用が推奨されている。周術期抗菌薬適正使用の原則について述べた。周術期感染予防は,SSIあるいは遠隔臓器感染症治療とは異なる概念であり,予防と治療を同時に行うことはできないことを強調しておきたい。術おわりに

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