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4.腹腔ドレーン5.閉 創1737ab┃図4┃手術困難例に対する回避手術(bailout procedures)a)胆囊亜全摘術(subtotal cholecystectomy)b)遺残胆囊壁を閉鎖する方法(reconstituting)〔高田忠敬 編:急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン2018(第3版).医学図書出版,2018より引用改変〕汁漏出などが認められた際にのみ最小限の洗浄を行うにとどめている。胆嚢周囲の炎症性癒着,Calot三角の瘢痕化,また肝硬変に伴う側副血行路の発達などのため,criticalviewofsafetyの作成を含めた基本的な腹腔鏡下胆嚢摘出術の遂行が困難な場合がある。このような状況においては胆嚢亜全摘術(図4)などの回避手技を行うことがあり,残存した壊死組織による腹腔内感染や胆汁漏が危惧される場合には腹腔ドレーンを留置することがある。腹腔ドレーンを留置した場合,術後に排液の培養やビリルビン値の測定など行い,問題のないことが確認されれば,長期の留置は避け,遅くとも術後2日目までには抜去を行う。胆汁漏が疑われれば,腹部造影CT検査を施行し,漏出部位の同定やドレーンの位置,腹腔内液貯留部位に注意し,ドレナージが適切であることを確認する。ドレナージ位置不良と判断されれば,X線透視下での位置調整が必要である。また胆道減圧を目的として内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(endoscopicnasobili-arydrainage;ENBD)や内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(endoscopicretrogradebiliarydrain-age;ERBD)を行うことで腹腔内への漏出量を抑制するなどの処置が必要である。消化器外科感染症ガイドライン2018によれば,筋膜縫合に関する結節縫合と連続縫合のRCT(randomizedcontrolledtrial)があり,創感染,ヘルニア,創離開の発生率に差が認められず,どちらでも構わないとしている7)。当院では,12mmのトロッカーを使用した創の筋膜縫合は,吸収糸を用いた連続縫合を行っている。また,皮膚はモノフィラメント吸収糸を用いた真皮埋没縫合がSSIや創離開が有意に少ないというRCTの報告から8),当院ではモノフィラメント吸収糸を用いた真皮埋没縫合を行っている。

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