042152022045T
4/10

区域・亜区域に関してわが国ではグレーの網掛け部が一般的な呼称である表1. 肝区域の呼称左肝left liver右肝right liver左葉left lobe右葉right lobe左外側領域left lateral sector左傍正中領域left paramedian sector右傍正中領域right paramedian sector右外側領域right lateral sector尾状葉dorsal liver外側区域lateral segment内側区域medial segment前区域anterior segment後区域posterior segment尾状葉caudate lobeSegment ⅡSegment ⅢSegment ⅣSegment ⅤSegment ⅧSegment ⅥSegment ⅦSegment Ⅰlateral superior arealateral inferior areamedial superior areamedial inferior areaanterior superior areaanterior inferior areaposterior superior areaposterior inferior areaS2S4S3363CouinaudHealey & Schroy分類肝の基本構築を理解するうえでは発生学の知見を押さえておくことが望ましい。肝は胎生第4週に前腸末端腹側から突出する「肝芽」として発生を開始する。肝芽は増大を続けながら大きな頭側部(後の肝実質)と小さな尾側部(後の胆囊・総胆管)に分かれる。この時点での胎生循環をみてみると,卵黄囊の両側を上行する1対の卵黄腸間膜静脈と,腹壁から横中隔へと向かう1対の臍静脈が見て取れる。これが肝の発生のスタート地点である(図2a)。肝芽は増大を続けながら左右の卵黄腸間膜静脈を飲み込み,胎生第5週早期に左右に分葉する5)。これがのちの左外側領域(S2),右外側領域(S6+7)である。ヒトの場合,左右の傍正中領域(のちのS3+4,S5+8)はこの時点では左右の葉をつなぐ細いブリッジに過ぎない。図2bに色葉区域図1. 肝臓亜区域の3次元的形状と配置分けして示した。肝が分葉する動物においてはこの時点ですでに左右の外側領域,左右の傍正中領域が分葉し,4つの区域が明瞭となっているが,ヒトの場合は分葉が起こらないため,外観上区域境界ははっきりしない。ここから先は,血流路の改変によって,われわ亜区域S8S7S5S6 2 発生学からみる肝の区域構築

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る