1肝右葉切除・肝右三区域切除+肝外胆管切除鈴木 大亮* 久保木 知* *Daisuke SUZUKI, et al. 千葉大学臓器制御外科逆L字型切開などがあるが,各施設の方針で決定すればよい),右側は第9肋間中腋窩線まで切り上げて開腹し,十分な視野を確保する(図1)。開腹後,まず腹膜播種,肝転移などの遠隔転移の有無を確認し,さらに門脈臍部右側の胆管切離予定ラインに癌浸潤が及んでいないことを確認し,切除の可否を判断する。肝右葉切除肝右三区域切除胆道手術541術前のMDCTを中心とした画像診断により肝動脈,門脈,胆管の立体的な解剖,分岐,合流形態を十分に把握してから手術に臨むべきである。主に肝門部から右肝管に主座する肝門部領域胆管癌が右肝切除の適応となり,B4胆管合流部より末■の浸潤を認める症例,胆管浸潤がUP(umbilical portion)右縁に及び,UP右縁での胆管切離では胆管断端の陰性が得られない症例,さらには腫瘍がS4に張り出し,S4の肝実質を切除する必要がある症例が肝右三区域切除の適応となる。一般的に右側肝切除は左側肝切除に比べ,残肝容積が小さく,重篤な術後合併症,とくに肝不全に陥る頻度が高いため,残肝容積が40%を下回る症例に対しては門脈塞栓術(portal vein embolization;PVE)を施行し,安全な手術を目指す。②後腹膜を十二指腸下降脚外縁に沿い切開し,④総胆管を膵上縁でテーピングし,肝側に牽引しつつ可及的に膵内まで胆管の剝離を行う。遠位Kocherの授動術を行う。大動脈周囲リンパ節転移(No.16a2,b1)の有無を視触診で確認するとともに,リンパ節のサンプリングを行う(図2)。③膵頭後部リンパ節(No.13a,b)は,膵実質への細かい静脈交通枝を結紮・切離しながら郭清を進める(図3)。古川 勝規* 高野 重紹* 高屋敷 吏*大塚 将之*はじめに 1 拡大肝右葉切除+胆管切除1-3) A 開腹〜遠位胆管切離と肝十二指腸間膜郭清まず,視野の確保を十分に行うことが重要である。根治切除を成し得るには,少なくとも十二指腸側胆管の癌陰性を確認する必要がある。①肋骨弓下横切開を山型に置き(ほかJ字型切開,
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