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肝門板は胆囊板,臍静脈板,Arantius板に連続し,これらはplate systemと称される。胆囊板胆囊板前区域Glisson茎前区域Glisson茎後区域Glisson茎後区域Glisson茎G1cG1c右Glisson茎右Glisson茎肝門板臍静脈板臍静脈板Arantius板Arantius板Arantius管Arantius管G1lG1l左Glisson茎下大静脈6胆囊やArantius管が肝臓に接する部位でも同様に膜状の結合組織が厚みを増しているため,それぞれ胆囊板(cystic plate),Arantius板(Aran-tius plate)と呼ばれている。これらのplateは互いに連続しているため,合わせてplate systemと称される(図1)。なお,肝門板と臍静脈板は左・右Glisson茎の肝実質側表層と同義である。肝動脈,門脈,胆管は,肝外すなわち左・右Glisson茎内では,個別の分岐(合流)形態をとっているが,肝内すなわち前・後Glisson茎と各Glisson枝内では,3つが一体となって走行し,一部のきわめてまれな門脈奇形(S4門脈とS8門脈の肝内結合)を除いて,樹木の枝のように分岐したそれぞれのGlisson枝が肝内で再び交通することはない1-3)。そのため,通常は前・後Glis-son茎あるいはGlisson枝を確保して切離すると,それらのGlisson茎または枝による血流支配領域は虚血領域として認識され,一方で他領域の肝動脈・門脈血流や胆汁流出は保たれる。Takasakiは肝門におけるGlissonの分岐形態に着目して,肝臓をleft,middle,rightの3つのsegmentに分類した6)。Healey & SchroyとCou-inaudの分類における左葉内・外側区域(S2,S3,S4)がleft segment,前区域(S5,S8)がmiddle segment,後区域(S6,S7)がright seg-肝内門脈(Glisson)の分布をもとにしたHealey & Schroyによる2葉(右葉,左葉)4区域(外側区域,内側区域,前区域,後区域)の分類4)と,Couinaudによる8亜区域(S2〜S8)と尾状葉(S1)の分類1)は,簡易でかつ肝臓の解剖を理解するに容易な分類であり,これらをもとにわが国の原発性肝癌取扱い規約では,左右の門脈本幹が1次分枝,右葉の前・後区域への分枝と左葉の門脈臍部および尾状葉枝が2次分枝,各亜区域への分枝が3次分枝と定義されている5)。しかし,とくに肝内門脈(Glisson)の分布は実際との乖離がある。Glisson一括確保によって精緻な解剖学的肝切除術を行うには,plate systemおよびGlisson茎・枝の局所解剖を正しく理解しておく必要がある。 C 肝内・外での肝動脈,門脈,胆管の走向図1. Glisson茎・枝とPlate system D Glisson枝の分岐形態688

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