cone unitGlisson 2次分枝から分岐する6〜8本のGlisson枝3次分枝の支配領域をcone unitと定義した。mentに相当する。Takasakiは肝臓の左右対称性よりも肝門から見たGlissonの普遍的な分岐形態を重視し,これら3つのsegmentへ流入する各Glisson茎を2次分枝,2次分枝から分岐する各Glisson枝を3次分枝と定義した。そして特徴的なのは,Couinaudの分類や原発性肝癌取扱い規約において門脈が末■に向かって2分岐を繰り返すように示されているのに対して,2次分枝(Glisson茎)を木の幹のように見立てて,6〜8本の3次分枝(Glisson枝)が幹から個別に分岐するという概念を示した点である。さらに,Takasakiは各3次分枝の支配領域が分岐部を頂点とし肝表を底面とする錐型の領域(cone unit)となることを示した(図2)6)。Couinaudの分類や原発性肝癌取扱い規約で定義される亜区域が隣接する2〜4個のcone unitの集合体であることは,現在の肝臓外科医の間ではすでに常識となっている。Glisson茎から直接分岐するGlisson枝は比較的太いものが多いが,径1mm程度の細いものも少なからずあり,Glisson茎と肝実質の間を盲目的操作で剝離すると,これらの細いGlisson枝を損傷することがある(図3)。細い枝を損傷すると修復が難しいこともしばしばあり,胆汁漏の原因になりやすい。Laennec被膜は肝臓固有の被膜であり,腹膜のない無漿膜野も含めた肝臓全体を覆っている。また,Glisson茎やGlisson枝,主肝静脈の周囲でも肝臓表面から折り返すように連続して肝内に入り込み,これらの脈管と肝実質の間に存在する。Glisson茎やGlisson枝の周囲を剝離する際には,周囲の肝実質がLaennec被膜に覆われた状態で剝離を進めることができれば,肝実質を破壊することなくGlisson茎やGlisson枝を確保することが可能である(図4)。しかし,実際にはLaennec被膜を温存しながらGlisson茎やGlis-son枝との間を剝離することが困難な場合も少なくない。脂肪肝症例では容易にLaennec被膜が破れ,軟らかい肝実質が破壊されてしまう。肝硬変や胆管炎の既往を有する症例では,Glisson茎図2. Cone unit E Laennec被膜689
元のページ ../index.html#4