胃膵胃膵間膜横隔膜上腸間膜動脈左側の矢状断を示す。膵臓は膵前筋膜と膵後筋膜に覆われている。膵後筋膜とGerota筋膜との間には剥離可能層が存在する。上腸間膜静脈十二指腸Treitz癒合筋膜Treitz癒合筋膜良性・低悪性度疾患ではGerota筋膜前面を剥離する。剥離可能層をGerota筋膜寄りで剥離していくとよい(青ライン)。悪性疾患では上腸間膜動脈左側で左腎静脈前面の層に入る。左副腎の切除は腫瘍の進展範囲で決定する(赤ライン)。膵前筋膜(赤線)脾動脈脾静脈左副腎左腎静脈剝離可能層(斜線部)剝離ライン下大静脈下大静脈腹部大動脈左副腎左副腎腹部大動脈横行結腸間膜前葉大網横行結腸間膜後葉膵後筋膜(赤線)Gerota筋膜(緑線)上腸間膜動脈剝離可能層膵膵左腎左腎横行結腸膵後筋膜脾脾Gerota筋膜(緑線)Gerota筋膜(緑線)10巨大な腫瘍や囊胞性膵疾患の場合は,腫瘍を損傷しないよう意図的にGerota筋膜の一部を標本側につけて剝離することもある(図3)。癌の場合は,膵後方のsurgical margin確保のためにGerota筋膜の背側を剝離するが,Gerota筋膜に浸潤を認める場合は,腎前面の脂肪組織も切除し,腎被膜前面を露出する層で剝離する必要がある。腎前面の脂肪組織は個人差があり,症例によっては厚く存在していることがある。剝離する深さは,左腎静脈と左副腎前面がメルクマールとなる。膵癌が左副腎周囲へ浸潤している場合は左副腎も合併切除する(図2)。腹腔鏡下膵体尾部切除術図1. 膵周囲の膜および間膜図2. 膵後方の剥離ライン954
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