と定義される。脾動脈本幹の末■側から分岐するもののほか,脾門の下終末動脈から分岐するものがあり,脾門の剝離の際に膵尾に向かって入ってくることがあるので注意が必要である。4)後胃動脈約60%にみられる。脾動脈の中央3分の1の領域から頭側に向けて分岐し胃底部に達する。約3分の2は上極動脈と共通幹を作り(この場合胃脾動脈と呼ぶこともある),独立して胃のみに向かうものは3分の1程度とされる。脾静脈の走行は動脈に比べるとシンプルである。膵背側中央あるいはやや下縁よりから脾臓に向かって斜め上方向に直線的に走行し,膵尾レベルで上縁腹側に露出して動脈と併走し,脾門に入る。1)左胃静脈と下腸間膜静脈左胃静脈は門脈本幹〜脾静脈に合流するが,約30%が脾静脈本幹に合流する。左胃静脈の走行経路としては総肝動脈背側が約50%,総肝動脈腹側と脾動脈腹側がそれぞれ約20%,ほかが数%という報告がある。左胃静脈も重要なドレナージ静脈となり得るため,可能なら温存したほうがよい。下腸間膜静脈は上腸間膜静脈〜脾静脈に合流するが,脾静脈本幹に合流する頻度は30%程度である。下腸間膜静脈は膵下縁の授動の妨げになれば切離しても大きな影響はない。 C 脾静脈の走行と分枝(図5)a)膵体部上縁の脾動脈テーピングb)膵尾での脾動脈テーピングc, d)脾動脈分枝(大膵動脈)の剥離・切離図4. 脾動脈のテーピングと剥離539539脾動脈脾動脈aaccbbdd脾動脈脾動脈脾静脈脾静脈膵尾部膵尾部
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