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める。つまり歯状線が内括約筋の全長のほぼ真ん中と考えてよい5)(図1)。この筋は血管叢や肛門粘膜下筋などのクッションと相まって安静時肛門管の閉鎖を担う。内括約筋は肛門管静止圧の85%を司り,自律神経支配で意志の力と関係なく,ある一定の力で肛門を閉じる働きをする5)。歯状線より口側の内括約筋の温存は禁制の保持に重要である。言い換えれば歯状線より肛門側の内括約筋を切開しても禁制は保持される。慢性裂肛の潰瘍底部の表面に見える横走する筋束は内括約筋である(図2,5,6)。外括約筋(external sphincter)は皮下外括約筋(皮下部,subcutaneous portion),浅外括約筋(浅部,superficial portion),深外括約筋(深部,deep portion)の3つの部分に分けられる(図1)。このうち裂肛治療に関係するのは皮下外括約筋である。皮下外括約筋は肛門下端を取り巻き前後方向へやや延長した楕円形の走行を示す横紋筋で,a)冠状断の模式図。肛門裂創の底部には肛門粘膜下筋の縦に走る線維が認められる。b)後方正中矢状断の模式図。肛門裂創底部には肛門粘膜下筋が露出している。肛門粘膜下筋肛門裂創肛門裂創肛門上皮が裂けて出血している。その部位に肛門粘膜下筋の縦方向の線維が認められる。肛門粘膜下筋 E 外括約筋図3. 急性裂肛のシェーマ図4. 肛門鏡による急性裂肛の所見肛門縁を形作る3)(図7)。内括約筋の下端と皮下外括約筋の上端は括約筋間溝を形成する(図1)。腰椎麻酔などで皮下外括約筋が弛緩すると括約筋間溝は肛門縁より外側に存在することになる。659659

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