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* 福岡市立こども病院2急性期反応物質(APR)楠くす原はら 浩こう一いち* 小児科診療で主に使用されている急性期反応物質(APR)は,CRP,プロカルシトニン(PCT),血清アミロイドA(SAA)の3つである.本稿では,CRPを中心に,小児科医がAPRの値の判断に迷う場面や気をつけるべき場面を提示し,どのように考えどのように対応するかについて論じたい. ① 化膿性頸部リンパ節炎 ② 川崎病の初期 ③ 化膿性以外の頸部リンパ節炎 ④ リンパ性腫瘍 化膿性リンパ節炎は細菌感染症であるが,局所感染症であり,かなり程度が強くてもCRPなどのAPRの上昇は軽度に留まることが多い.本症例では,リンパ節腫大の程度,発症からの期間を考えると想定外にCRPが高値である.このような場合,川崎病の初期でリンパ節腫大が先行している可能性がかなり高い.化膿性リンパ節炎も否定できないため経口抗菌薬の処方はやむを得ないが,家族には,川崎病の初期の可能性があること,今後の熱の経過と川崎病の他の症状が出現しないかどうかを見極めるため数日間は連日の受診が必要であることを説明する必要がある.はじめに思いがけずCRPが高い場合抗菌薬治療中にCRPが再上昇した場合1578 9章 免疫・アレルギー検査KEY WORDS急性期反応物質,CRP,プロカルシトニン,血清アミロイドA,周期性発熱症候群症例 患者:4歳,男児 主訴:発熱,頸部リンパ節腫脹 病歴・経過:2日前の夕方より右頸部の腫脹と同部の痛みがあり,外来を受診. 理学所見:体温37.5℃.右頸部に直径3 cm程度の腫大したリンパ節を触知.軽度,圧痛あり.結膜充血なし.咽頭発赤なし.口唇紅潮なし.発疹なし.四肢の異常なし. 検査所見:白血球数10,200/μL(好中球73%),CRP 6.5 mg/dL.考え方・判断方法・次に何をすべきか 主な鑑別診断として以下が挙げられる.症例 患者:10か月,男児 主訴:発熱 病歴・経過:肺炎球菌性髄膜炎で抗菌薬治療の7日目.4日目までデキサメタゾン併用.抗菌

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