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免疫・アレルギー検査小児科 Vol.64 No.13 2023薬治療5日目に解熱したが,6日目より再度発熱. 理学所見:特記所見なし. 検査所見:CRP:治療1日目 43.5 mg/dL,5日目 0.9.mg/dL,7日目 9.3 mg/dL.考え方・判断方法・次に何をすべきか 鑑別診断として以下が挙げられる. ① 細菌性髄膜炎の増悪 ② ステロイド中止後のリバウンド ③ 薬剤熱 ④ 細菌性髄膜炎の化膿性合併症 細菌性髄膜炎治療中に発熱した場合,主に上記の4つが鑑別診断に挙がる.④ の例として硬膜下膿瘍などがあり,画像での評価が必要となるが,治療開始後早期には通常起こらない.① と ② ③ の鑑別には,髄液検査の再検とともにCRPと同じくAPRであるプロカルシトニン(PCT)が有用である.CRPは ② ③ でもある程度上昇するが,いずれも非感染性の炎症でありPCTは上昇しない.CRPが再上昇していても,PCTの再上昇がなければ ② ③ と判断される.② と ③ の区別は,抗菌薬を継続して,自然に解熱するかどうかで判断する.本症例では,PCTは,治療1日目 60.8 ng/mL,5日目 2.1 ng/mL,7日目 0.7 ng/mLと再上昇なく,また髄液所見の悪化もなかったことから,② または ③ と判断して現行の抗菌薬を継続し,2日後に解熱したため,最終的に ② による発熱と考えた.あり. 検査所見:白血球数2,900/μL(好中球44.0%),Hb 12.5 g/dL,血小板数18.5万/μL,CRP 0.03 mg/dL,ESR 38 mm/hr.考え方・判断方法・次に何をすべきか 発熱と多発関節炎より,自己免疫疾患が鑑別に挙がる.本症例では,赤血球沈降速度(ESR)は亢進しているが,CRPは正常であり,乖離がみられる.自己免疫疾患のなかで,CRPが上がりにくい疾患として全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE),多発性筋炎,皮膚筋炎,強皮症などがあるが,とくにSLEではその傾向が強い.このケースでは白血球減少もみられており,SLEを鑑別診断の上位に挙げて,自己抗体や腎炎合併の有無の精査を進める必要がある.なお,このような場合でも,SAAは鋭敏に反応して上昇していることが多い.CRP値と赤血球沈降速度(ESR)に乖離がみられる場合発熱とCRP高値が重症細菌感染症に よるものではない場合①1579症例 患者:14歳,女子 主訴:発熱 病歴・経過:3週間前より38℃前後の発熱,2週間前より両膝と右足関節の痛みあり. 理学所見:両膝関節と右足関節の腫脹,熱感症例 患者:14歳,女子 主訴:持続する発熱 家族歴:母方の叔父,母親,母方曽祖父,母方祖父に同様の繰り返す発熱の病歴あり. 既往歴:1歳頃より,年に5,6回程度,1~2週間程度発熱が続くエピソードを繰り返していた.発熱の際には悪心・嘔吐,下痢,上肢や体幹部の紅斑,肩の痛みなどの症状を伴っていた. 病歴・経過:9日前より38℃台前半,5日前より39℃台の発熱があり,これまでのエピソードの際にステロイドの投与などを受けていた近医で加療されていたが改善せず,前医に紹介入院.その後も発熱が持続し,入院時の血液検査で認められた白血球数および好中球の増多,9

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