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免疫・アレルギー検査⿟化膿性リンパ節炎が疑われる状況で,リンパ節腫大の程度や発症からの期間に見合わないCRPの上⿟発熱のエピソードを繰り返し,そのたびにCRPの上昇がみられる場合は,周期性発熱症候群の可能性がある.本症候群の診断のためには,CRPが高値であっても,血液培養を採取したうえで全身状態に注意しながら抗菌薬を使用せずに自然解熱するかどうかを確認するステップが重要である.また,CRPが上昇してもPCTが上昇しないことも参考になる.小児科 Vol.64 No.13 2023 1) Kusuhara K et al:Tumour necrosis factor receptor-associated periodic syndrome with a novel mutation in 発熱症候群を疑ううえで重要である.mg/mL. 入院後の経過:入院後,同程度の発熱が持続し,入院4日後にはCRPが34.1 mg/dLまで上昇したが,入院後の精査では感染巣を示す所見は認められず,腹部超音波検査および腹部CTにて血管筋脂肪腫内の多量の出血が判明した.その後,出血の吸収に伴って解熱傾向となり,CRPも低下した考え方・判断方法・次に何をすべきか 本症例では,腫瘍内の出血およびそれに伴う組織傷害によって生じた非感染性の炎症が発熱とCRPの著明な上昇を引き起こしていたと考えられた.同じAPRであってもPCTは正常範囲内に留まっており,原因が細菌感染症によるものではないことが示唆された.腫瘍の大きさによっては腫瘍内出血により発熱やAPRの上昇が起こり得ること,原因の推定にPCTが有用であることを示すケースである.なお,エベロリムスによる本症の治療が可能となる前の症例を提示した.文 献発熱とCRP高値が重症細菌感染症によるものではない場合③the TNFRSF1A gene in a Japanese family. Eur J Pediatr 2004;163:30‒321581昇がみられた場合,川崎病の初期でリンパ節腫大が先行している可能性を考える必要がある.⿟薬剤熱やステロイド中止後のリバウンドによる発熱ではCRPが上昇するが,PCTは上昇しない.⿟自己免疫疾患が鑑別に挙がる状況で,ESRの亢進に比してCRPの上昇が乏しい場合は,SLEを考慮する.⿟腫瘍内出血により発熱とCRP上昇がみられることがあるが,PCTは上昇しない.症例 患者:15歳,男子 主訴:持続する発熱 家族歴:特記すべきことなし 既往歴:乳児期に結節性硬化症の診断を受け,経過観察中.精神発達遅滞あり.9歳時に左腎の血管筋脂肪腫を指摘され,大きさはその後次第に増大してきていた. 病歴:4日前から39℃台の発熱が持続し,経口摂取も低下してきたため入院.気道症状や消化器症状なし. 身体所見:顔面に皮脂腺腫,体幹部に白斑あり.左上腹部に腫瘤を触知. 検査所見:白血球数8,930/μL(好中球55%),Hb 7.8 mg/dL,CRP 30.6 mg/dL,PCT 0.18 KEY POINTS9

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