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 多くの既往歴や不定愁訴をもつことが多い成人と異なり,小児患者は,明かな症状や所見をもつことが多いといえます.われわれ医師はその症状や診察所見に基づいて検査項目を選択するわけですが,得られた検査値について判断に迷うことがしばしばあります.症状や診察所見がはっきりしているだけに,検査数値が予想と異なっていたり,想定に反して検査上の異常がなかった場合にどう判断すべきか迷う……本書は,そのような場面で適切な判断をする道しるべになればと考え,企画いたしました. 本書では日常診療で頻回に検査する尿検査,血液検査,感染症検査をはじめ,便,髄液,血液の専門領域の検査まで幅広く網羅されています.尿検査では潜血反応や蛋白反応の解釈に迷うことはしばしばです.無症状の小児でALPやCKが高値のこともあり,解釈に迷うこともあります.ウイルス感染症を疑うものの,どんな検査をどう進めていくべきか迷うこともあります.そういった,ありふれた検査の「判断に迷ったら」どうするか.また,より専門的な検査において解釈をどうするか,専門的なだけになかなか回答を見つけることが難しい場面に遭遇することもあります.本書にはそのヒントもあるはずです. 本書はまず興味ある項目を拾い読みしていただいたり,その後は,座右に置いていただき折に触れて参考にしていただいたり,いろいろな使い方をしていただけるのではないかと思います.「子どもの検査値の判断に迷ったら」の世界をお楽しみください.2023年12月「小児科」編集者一同序文

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