名古屋大学 整形外科今釜 史郎 整形外科の外来患者数は内科に次ぐ2位と大変多く,年々増加しています。適切な治療のためには適切な診断が必要ですが,画像検査は診断の大きな根拠になり,画像診断法の近年の進歩により,ますます重要になっています。整形外科の日常診療で広く行われている単純X線検査,CT,MRIに加え,最近では超音波検査や人工知能を用いた画像診断も一層注目されています。 そこで本号ではタイトルを「脊椎脊髄領域の画像診断―最新の知識と進歩」として脊椎脊髄領域の画像診断に焦点を当て,外来診療における脊椎脊髄疾患の診断に役立つ特集を企画いたしました。著者の先生方も整形外科にとどまらず,放射線科や脳神経内科など,その分野のスペシャリストの先生方にお願いしています。 まず総論として,「脊椎脊髄の画像診断の進歩と最新の知識」の章では,最近の画像診断の進歩全般とともに,EOSやPET,拡散テンソルイメージング,トモシンセシス,脊磁図,エコー,有限要素解析をご紹介いただいています。 次に「成人の脊椎脊髄疾患の画像診断」の章では疾患別の各論として,患者数の多い腰痛の画像診断や頚椎と脊椎のアライメント,脊椎圧迫骨折,脊柱靱帯骨化症,脊髄腫瘍,脊髄ヘルニア,脊椎関節炎に加え,整形外科医が診断に悩む脊髄に生じる脳神経内科疾患を取り上げました。 また整形外科外来には小児患者さんも受診され,小児脊椎の画像診断に悩むことも少なくありません。「小児脊椎脊髄疾患の画像診断:基礎編」として,小児脊椎画像のnormal variantsや総論をはじめ,実践編では疾患各論として小児脊柱変形や環軸椎回旋位固定,発育期腰椎疾患,脊椎感染症・炎症性疾患を解説いただいています。最後に最近注目のAIに関して「AIを用いた脊椎脊髄疾患の画像診断の進歩」の章を設け,AI総論とともに脊椎疾患の鑑別や自動診断システムについて,将来に向けた展望とともにご執筆いただくことができました。 本臨時増刊号を通読いただくことにより,脊椎脊髄疾患に対する最新の画像診断をしっかりと理解し習得することができます。貴重な論文をご執筆をいただきました著者の先生方に心より感謝するとともに,読者の皆様に大いにお役立ていただけますことを祈念しております。 2023年4月編集にあたって
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