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  整形・災害外科  椎体,肋骨,骨盤骨や大腿骨に拡散制限を認める(A;矢印)。T1強調像では同病変に一致して低信号が認められ,腫瘍による骨髄信号の消失を反映している(B)。全身拡散強調画像により病変の全体像の把握が容易となる。―  454  ―コントラストが良好で,骨転移検索に有用な画像モダリティとして確立されている。2004年のTakaharaら8)のDWIBS法の発表以来,全身MRIを用いた骨転移検索の報告が増加した。特に前立腺癌9)や多発性骨髄腫10)では骨病変評価に全身MRIが推奨されている(図3)。 骨転移は古典的には造骨性,溶骨性,混合性に分類されるも,既存の骨梁構造を破壊することなく病変が進展する骨梁間型転移が注目されている。この転移は他のモダリティでは評価が困難であり,診断に難渋することがあるが,MRIは骨梁間型転移の診断に優れ,早期診断と加療を可能としている。DWIは治療効果判定にも有用であり,骨転移に対する加療前後でADCが上昇することが知られている11)。今後は定量評価に関する知見の蓄積が期待されている。ⅥMR hydrography 通常よりT2緩和を強調化したheavily T2強調画像を用いて撮像される。水(脊髄液)の高信号が強調されるため,X線透視やCTでの脊髄造影に近い画像を得ることができ,MR脊髄撮影(MR myelography)とも呼ばれる。最近になって広く普及したものに,完全な定常状態(steady­state)を用いて高分解能で強いT2強調画像を得るパルスシーケンスがある。その代表的撮像法として,FIESTA(fast imaging employing steady­state acquisition)法(GE社),CISS(constructive interference in steady state)法(Siemens社),Balanced FFE(balanced fast field echo)法(Phil-ips社)がある。脳脊髄液に囲まれた微細構造の描出に優れ,硬膜内髄外病変の観察に有用である。また,椎間板ヘルニアなどにより圧排された硬膜囊や神経根の評価も可能となる(図4)。Ⅶ立位CTによる荷重下での運動器画像評価 運動器の画像評価において,四肢・脊椎が生理的な荷重状態である立位による撮影の重要性が報告されている。従来のX線検査や臥位CTでは荷重状態の評価は困難であり,立位CTやコーンABT1強調冠状断像図3 全身拡散強調画像(70代男性,多発性骨髄腫)全身拡散強調冠状断像

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