高齢者・脆弱性骨折D カルカー周囲の骨セメントを圧迫しながら,一定の速度でアライメントに気をつけながらステムを挿入していく。E 図では模擬骨に模擬ステムを挿入しているが,ステムを押している反対の手の指で溢れ出てくる骨セメントをカルF あまりにも早期に骨セメントが硬化するようであればやり直すのが好ましいが,ミリ単位での調整であれば,図のようA 髄腔の洗浄および乾燥。ガーゼに付着する血液が薄くなるまで何回も乾燥を繰り返す。最後は近位と遠位にガーゼをB 逆行性骨セメント注入。ガーゼ除去後,素早くセメントガンを挿入し逆行性に骨セメントを注入する。この際ノズルはⅦ骨セメントを使用した人工骨頭挿入術にや内外反を調整すると骨セメント欠損をきたすため,挿入中に調整する。挿入中にもし骨セメントの粘性が高くなりステムを進めるのが困難になれば,ハンマーを使用するのはできるだけ避け,下肢を保持している助手の腕を引きステムを押していくようにすると,力がさらに加わりやすい(図2F)。予定していた位置までステムを進めたのち,骨セメントが硬化するときに膨張しステムが近位へ移動してくるので,硬化するまでステムがぶれないように軽く押し続けて待つことが大切である。 骨セメントを使用する際に生じうるトラブルについて記載する。前述したように骨セメントはsetting timeが温度の影響を受けやすいため,温度管理には細心の注意を払わなければならない。しかし,季節や空調次第で想定していたより早く,もしくは遅く硬化する場合がある。術者は術中に骨セメントを充填する前に,時間だけでなく必ず実際の硬化状態を確認すべきである。 もし,骨セメントの硬化が遅いと感じても時間を信用し早期に充填してしまうと,BCISのリスVol.67No.52024― 631 ―AADD図2 ステム挿入の流れ(左大腿骨頚部骨折に対し人工骨頭挿入術を施行した際の術中画像)パッキングし,骨セメントの粘性を確認する。手前に引かず,注入圧で自然に押し出されるように操作する。C Pressurization。骨セメント注入からステム挿入完了まで髄腔内セメント圧を骨髄内圧より高く維持することが重要である。カー周囲で押さえ,髄腔内の圧が保たれるようにする。に押すだけの力ではなく助手の腕を引っ張ることによりステムを押し込むことが可能である。BBEECCFF近位前方後方遠位おけるトラブルシューティングⅤ
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