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帝京大学医学部整形外科学講座帝京大学医学部附属病院外傷センター渡部 欣忍 本臨時増刊号「骨折治療の現在地を知る!」では,選りすぐりの筆者により,整形外科の外傷・骨折にまつわるホットな疑問に対する現時点における答えを出してもらいました。 骨折治療は日進月歩していますが,良い医療を行うためには,施設やコメディカルを含めた医療システムが重要です。重度外傷と脆弱性骨折の治療では,必要とするシステムも異なります。いま,何が問題で,その解決策は? 骨折の診断において,ディープラーニングによる整形外科外傷のAI診断と超音波エコー診断の現状と未来は? 外傷治療はエビデンスを得るのが難しい分野ですが,患者数が多いcommon frac-tureは各治療法の効果や合併症に対するエビデンスが比較的得られやすいはずです。Common fractureを中心に最新のエビデンスに則った治療指針や治療戦略はいかに? そして,私たちは医学論文からどのようにエビデンスを読み解けばよいのでしょうか? 高齢者の骨折と脆弱性骨折の治療には種々の問題があります。続発性骨粗鬆症の診断,二次性骨折予防,周術期せん妄予防は,ともすれば見落としがちですが,難しく重要なトピックスです。脆弱性骨盤輪骨折と骨粗鬆症性椎体骨折は,外科的治療が増加傾向にあります。最新の手術適応や治療法は? 高齢者の肩や肘関節周囲の骨折,骨転移による大腿骨病的骨折では,人工関節手術と骨接合術が競合する時代が近づいています。今後,整形外傷医にとっても必須の手術になります。大腿骨近位部骨折には早期手術・早期荷重を求めるのに,大腿骨遠位部骨折や足関節周囲骨折では免荷を許容しています。これはダブル・スタンダードであり,改善すべき問題です。何か新しい試みは? 欧米ではhip fractureに対する人工関節はセメント使用が一般的ですが,日本では使用頻度が低いようです。セメントテクニックは難しいのでしょうか? 非定型大腿骨骨折の問題点は何で,どう治療するべきなのでしょうか? 偽関節や感染の治療では,Masquelet法や抗菌薬局所注入療法は最近のトピックスです。新しい工夫はあるのでしょうか? また,この分野における再生医療の可能性はどうなのでしょうか? 以上,かなり欲張った企画でしたが,とても興味深くためになる内容になりました。 2024年4月編集にあたって

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