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AとBの症例はX線像では類似している。A 症例は右下腿遠位部骨折Gustilo分類typeⅢB/Cであり,受傷時に血行再建とdebridement,骨仮固定,2日目に再debridementと骨接合,4日目に軟部再建(遊離広背筋皮弁)を施行した。このような治療は外傷再建センターで施行することが望ましい。B 症例は左下腿遠位部閉鎖性骨折であり,受傷時に創外固定,7日目に骨接合術を施行した。この症Ⅲ各々のセンターの設立に必要な要因(手術図4 重度四肢外傷と重傷関節内骨折の対応の相違必須適宜受け入れサイド365日24時間転送サイド適宜数百例非常に困難比較的容易  整形・災害外科  例は骨折センターで治療が可能である。―  452  ―ために必要な要因について述べる。 重度四肢外傷に対応する「外傷再建センター」は常に一定レベル以上の治療体制を365日24時間提供する必要があるため,高い治療技術を有する医師とスタッフスケール,そしてシステムが必要である。それは3~4室以上の「専用手術室」と「専属麻酔科医」,10数名以上の外傷再建整形外科医の存在である。これらのスタッフを雇用するには年間2千数百例以上の手術数が必要となる。このような施設(部門)を構築することは日本では困難である。行政や学会,大学などが主体になって設立できるものではなく,有志医師による「ベンチャー的設立」に頼るしか方法はない(表2)。 一方「骨折センター」の設立は比較的容易である。なぜなら手術の緊急性は少なく,高いレベルの「初期治療」は求められていないからである。それゆえ時間外においては整形外科専門医レベルの医師による対応でよい。外傷性疾患であるがゆえに臨時手術にはなるが,そのほとんどは緊急手術ではない。1~2室の「専用手術室」と数名以上の外傷整形外科医で運営が可能であり,このセンAB表2 2種類の「整形外科外傷専用ユニット」外傷再建センター骨折センター緊急事例対応(血管損傷・重度四肢外傷)専用手術体制必須(3~5室)(再建)専門医必須(10数名)適宜(数名)手術数(年間)2千数百例以上設立室体制,スタッフ数など)

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