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高齢者・脆弱性骨折*  Fumito KOBAYASHI et al,関西医科大学,整形外Ⅰセメントステムを使用するⅤⅤ小林 史朋*  䯨  賢一*  寒川 翔平*  中村 知寿*  飯田 寛和*  齋藤 貴徳*要旨超高齢社会を迎え骨質不良例の増加が予想される本邦において,良好な治療成績を有する骨セメントを使用した人工骨頭挿入術が,一般的に,かつ安全に施行されることが重要である。Pitfallを十分に理解し,髄腔プラグの使用,洗浄および乾燥,逆行性骨セメント注入といった最低限守るべきポイントをおさえ,BCISなどの合併症に関する手術室内のスタッフの認識,手術に関する一連のチームワークを形成すれば,スムーズに,かつ安全に手術を行うことができるため,本手技はすべての整形外科医・外傷外科医が身につける必要がある。 超高齢社会である本邦において,高齢化率の上昇に伴い股関節周囲骨折の数は2018年と比して2050年には1.36倍に増加するとの見解もあり1),人工骨頭挿入術の施行数は増加していくと予測される。人工骨頭挿入術に使用されるステムはセメント,セメントレスの大きく2つに分類されるが,高齢者に対する人工股関節置換術におけるセメントレスステムの使用は避けるべきとの報告が散見されるようになり2),現在は海外のガイドラインにおいて大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭挿入術にはセメントステムの使用を強く推奨する潮流がある。 本邦における現状のガイドラインは,「骨脆弱例やステム適合不良例に対してはセメントの使用を提案する」との記載であるが,今後はセメントCemented bipolar hip arthroplasty for femoral neck fracture;focus on cementing technique科学講座KeywordsSurgical technique利益相反なしBone cement, Bipolar hip arthroplasty, 手技の重要性が提起される可能性がある。骨セメントによるステムの固定法は,股関節専門医や外傷専門医だけでなくすべての整形外科医にとって身につけなければならない手技の一つであるため,本稿では手術手技について概説する。 セメントステムの最大のメリットは,設置に妥協がなく常に同じ手技で対応できることである3)。大腿骨狭髄腔や拡大髄腔に対しても基本的に同一機種で対応ができる。個々の症例により脚長・オフセット・前後捻を調整することが可能である。また,セメントレスステムよりも術中・術後骨折が少ないため4),高齢者・骨質不良症例に対しては特に有効である(表1)3)。デメリットを挙げるならば,手技がセメントレスステムより煩雑であること,骨セメントの取り扱いに関してpitfallが存在することである。しかし,正しいセメントテクニックを習得すれば,一連の手技をスムーズに,かつ安全に行うことができる。整・災外67:627   633,2024―  627  ―は じ め にメリット・デメリット高齢者・脆弱性骨折大腿骨頚部骨折に対するセメント使用人工骨頭挿入術―セメントテクニックを中心に―

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