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*Shigeruko IIJIMA,はなみずきクリニック,皮膚科3蜂窩織炎小桿菌),汚染した土壌・水との接触後に創部から発症するAeromonas hydrophila(グラム陰性,通性嫌気性桿菌)などがある。後2者は,糖尿病や免疫抑制状態にある個体では劇症化し,敗血症や壊死性筋膜炎に進行しやすい。Ⅱ3× 内服・セフカペンピボキシル塩酸塩水和物(フロモックス®100mg):3T,3× 内服α):3g,3×点滴・アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム配合(2:1)(ユナシン‒S®):6g,2×(重症例では12g,4×まで可)点滴蜂窩織炎,黄色ブドウ球菌,グラム陽性球菌,血清亜鉛低値,亜鉛補給飯島 茂子* 主として黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus),次いで化膿連鎖球菌(Streptococcus pyo︲genes)などのグラム陽性球菌による真皮深層から皮下組織に及ぶびまん性急性化膿性炎症性疾患である1)。大腸菌,クレブシエラ,プロテウス,緑膿菌などのグラム陰性桿菌との混合感染もある。好発部位は下腿がもっとも多く,足部・大腿・臀部と続く。上肢の発症頻度は少なく,まれに両側性がある(図1—a~c)。感染経路は,① 掻破などによる微小な亀裂や足白癬による趾間の浸軟,外傷などから直接菌が皮表を貫通して真皮に感染を生じる経路が一般的である。そのほか,② 毛孔や汗口などから侵入し,毛包炎・癤や汗腺膿瘍などから深部に波及する場合,③ 接触皮膚炎,虫刺症に二次感染をおこし発症する場合,④ 骨髄炎や筋炎など深部組織の化膿巣から波及する場合,などがある。しかし,経皮的侵入経路が明らかでない場合もある。リンパ浮腫,静脈性うっ滞などの血行障害がある場合は発症の局所要因となる。 特殊な起炎菌として,猫・犬などに咬まれたり,引っ掻かれた後に発症するPasteurella multocida感染症(グラム陰性,通性嫌気性小短桿菌)(図1—d),乳幼児の上気道炎から菌が血行性転移をおこして眼窩・眼窩周囲・頰部に発症するHae︲mophilus influenzae感染症(グラム陰性短桿菌),汚染した海水あるいは魚介類との接触後に創部から発症するVibrio vulnificus感染症(グラム陰性b)中等症例・重症例・セファゾリンナトリウム水和物(セファメジン®906298Ⅰ1.内服薬,注射薬❶ 抗菌薬 感染症の基本的治療方針は,起炎菌の感受性検査に基づく抗菌薬の投与である。しかし,本症での菌の検出率は,穿刺,吸引液,生検組織などからの培養で10~20%台と報告されており,起炎菌を確認するのは膿瘍・潰瘍・水疱などの形成がなければ困難である。そこで,本症のほとんどが黄色ブドウ球菌と化膿連鎖球菌などのグラム陽性球菌であることを念頭に置き,下記の治療を開始する。a)軽症例・セファレキシン(ケフレックス®250mg):3C,第章 細菌感染症病態病態と対応した治療の基本方針・ 治療薬の意義

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