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細菌感染症acbd b :71歳,女性。低アルブミン血症による下肢浮腫がある。両側性。多発性水疱を認める。 c :75歳,女性。左前腕伸側に慢性刺激性皮膚炎と外傷性の紫斑を認める。 d :57歳,男性。左手背に数カ所の猫による咬傷を認める。皮膚科の臨床 Vol.64 No.5 2022図1 a : 69歳,女性。高度肥満・両側性下肢リンパ浮腫がある。再発性。左下肢の高度な発赤・腫脹と大小の水疱を蜂窩織炎の臨床像認める。c)グラム陰性菌感染が疑われる場合・セフトリアキソンナトリウム水和物(ロセフィン®):2g,2×(重症例では4g,2×まで可)点滴・メロペネム水和物(メロペン®):1g,2×(重 起炎菌が同定された場合には,感受性を参考に抗菌薬を決定する。 さらに,糖尿病,腎障害,血液疾患,免疫抑制薬の内服などの併存する易感染性因子の有無を確認したうえで,治療にあたることが必要である。❷ 亜鉛製剤 病変部ではリンパ球やマクロファージから分泌されるサイトカインが炎症反応形成に重要であると考えられている。グラム陽性球菌の細胞壁成分であるペプチドグリカンや産生毒素は,ケラチノサイト,Langerhans細胞,浸潤リンパ球を活性化し,IL—1,TNFαをはじめとする炎症性サイトカインを産生させる。 これらのサイトカインにより,細胞質内の不活性なNF-κB(nuclearfactor-kappaB)は核内に移症例では3g,3×まで可)点滴行して活性化し,種々のサイトカイン(IL—1,IL—6,IL—8,TNFαなど)の遺伝子の転写を行うことができるようになる。その結果,好中球やマクロファージなどの貪食殺菌作用が亢進し,菌が速やかに処理されることとなる。また炎症は,NF-κBの活性化から少し遅れてNF-κB阻害因子が活性化されることで消退していく。 一方,種々の感染症において血清亜鉛値が低下すること2),その補給が感染の治療に有効であること3)および感染の発症頻度を低下させること4)が報告されている。亜鉛は生体内の必須微量元素であるが,多くの蛋白の構成成分および細胞機能に重要であり,細胞の増殖や分化,RNAやDNA合成,細胞構造や細胞膜の安定化および自然免疫・獲得免疫システムの調節などに深く関与している。 免疫システムに関して亜鉛は,自然免疫の病原体認識受容体であるToll-likereceptorのシグナル伝達経路においては抑制的に働き,炎症誘発シグナル伝達経路(IL—1,IL—6,TNFαなど)におい299907

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