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第章 細菌感染症文 献 1) 東 直行:皮膚疾患最新の治療2021—2022,高橋健造ほか編,南江堂,2021,186—187頁 2) Afolabi OF et al:Niger Postgrad Med J, 25:131—136, 2018 3) Scinece M et al:CMAJ, 184:E551—E561, 2012 4) Prasad AS et al:Am J Clin Nutr, 85:837—844, 2007 5) Gammoh NZ, Rink L:Nutrients, 9:624—649, 2017 6) Iijima S, Takayama N:J Dermatol, 49:184—189, 2022ても抑制的に働く5)。つまり,亜鉛は抗炎症元素であり,亜鉛低値は免疫不全の状態となり,敗血症などを発症しやすい予後不良因子のひとつと考えられる。 蜂窩織炎発症時でも,亜鉛の消費量が亢進し血清亜鉛値が有意に低下することが報告された(蜂窩織炎40症例の血清亜鉛値52.1±16.0μg/dl:正常値80~130)6)。血清亜鉛値はCRP値やWBC値と負の相関を示し,血清アルブミン値,ヘモグロビン値,ヘマトクリット値とは正の相関を示した。入院治療例では外来治療群より有意に血清亜鉛値が低値であった。さらに,継続的な亜鉛内服により再発性蜂窩織炎の発症予防になる可能性が示された。 以上より,蜂窩織炎発症時に血清亜鉛値を測定して低値の場合には,免疫不全状態から回復させるために亜鉛製剤の投与が推奨される。a)投与例・酢酸亜鉛水和物(ノベルジン®):50~100mg/日,分1~2 内服(投与初期には悪心・嘔吐を伴う症例もあるので,はじめの2日間は半量として内服させる)・ポラプレジンク(プロマック®):150mg/日,分2(亜鉛として34g/日)内服9083002.薬物療法以外の治療法 膿瘍が形成されている場合には試験穿刺で部位を確認のうえ,十分な切開・排膿・洗浄を行う。3.治療に影響する生活上の注意 病変部は安静を保ち,局所のクーリングを励行する。 下肢が病変の場合には,長時間の立位を控える。 入院加療の場合には,トイレ移動も車椅子使用とする。

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