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ⅠⅡⅢⅣ第章 細菌感染症表1表2910302も施行する。病巣部,血液,咽頭,膣,尿,便の培養やグラム染色を施行する。CPKの上昇は一部の症例のみである。壊死性筋膜炎に対して特異的な臨床検査はない。臨床像は非常に急速に悪化する可能性があり,ときには数時間の間に悪化することもある。壊死性筋膜炎の存在を予測するために,検査所見を統合したリスク指標(laboratory risk indicator for necrotizing fasciitis,以下LRINEC)スコアが提案された6)。LRINECスコアは,血清CRP,白血球数,ヘモグロビン,血清ナトリウム,血清クレアチニン,血清グルコース値を評価する。スコアが8以上の場合,壊死性筋膜炎のリスクは75%となる。その後のLRINECスコアの評価は,相反する結果を示している。壊死性感染症の早期診断のためのLRINECの有用性が評価されているが,LRINECスコアは診断精度が低く,スコアが低いからといって診断が除外されるわけではない7)。aureus,Escherichia coli,Pseudomonas属が多い8)。複数菌の感染は,成人に多く,5菌種にまで及ぶ。糖尿病,肝障害,薬物乱用,アルコール中毒,ステロイド内服中などの基礎疾患がある患者に発症することが多い。消化管の感染,肛門周囲膿瘍,褥瘡,手術,外傷などが誘引となることが多い。糖尿病ではKlebsiella pneumoniaeが多い9)。成人とは対照的に小児では単一菌の場合が多い10)。すでに抗菌薬が投与されている場合が多く,菌が検出されない場合もある。Acinetobacter spp.Aeromonas sppEikenella corrodensEnterobacter cloacaeEscherichia coliHaemophilus influenzaeKlebsiella spp.Morganella spp.Proteus spp.Pseudomonas spp.Salmonella group B factors 4 and 5Serratia marcescensStenotrophomonas maltophiliaVibrio spp.グラム陰性菌Anaerobic gram-negative rodsBacteroides spp.Citrobacter freundiiClostridium spp.Fusobacterium necrophorumLactobacillus spp.Peptostreptococcus spp.Prevotella spp.Cutibacterium acnes壊死性筋膜炎の病型病型1菌種以上の嫌気性菌1菌種以上の通性嫌気性レンサ球菌好気性グラム陰性桿菌 腸内細菌科しばしば単独菌溶血性レンサ球菌A群,C群,G群黄色ブドウ球菌の混合感染Vibrio属魚類や海洋動物による刺し傷カンジダによる真菌感染極まれ(文献1)をもとに作成)嫌気性菌原因菌と特徴壊死性筋膜炎の原因菌グラム陽性菌Bacillus spp.Coagulase-negative StaphylococcusEnterococcus spp.Group B StreptococcusGroup D StreptococcusNon-A, non-B, non-D StreptococcusStaphylococcus aureusStaphylococcus milleri groupStreptococcus pneumoniaeStreptococcus pyogenesViridans streptococci4.原因菌 Streptococcus pyogenes(以下S. pyogenes)やStaphylococcus aureus(以下S. aureus),嫌気性菌や腸内細菌など多彩である(表1)。市中感染型ではS. pyogenesがもっとも多く,健常人に突如として発症する場合が多い。咽頭炎,扁桃炎,微小外傷,虫歯などが誘引となる。病院感染型ではS. 5.分類 主に起炎菌により分類が提唱されている(表2)1)。Ⅰ型は好気性菌と嫌気性菌の混合感染であ

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