湿疹・皮膚炎,痒疹,皮膚痒症ⅠabⅢab15623図2患者はペンキ職人で,ペンキにエポキシ樹脂が含まれていた。図3皮膚科の臨床 Vol.64 No.5 2022エポキシ樹脂による接触皮膚炎症候群の臨床像パッチテストの実際チテストが有用であるが,その方法や判定には一定の訓練が必要である。パッチテストには,皮膚に貼付する物質の性状によりさまざまな検査法がある。一般的には閉鎖貼付試験を行うが,時間的経過,部位より光線が関与する接触皮膚炎が疑われるときは光パッチテストを,ヘアカラー剤などはオープンテストを実施する。貼付する物質には,患者が持参する製品と同時に日本皮膚免疫アレルギー学会が推奨するジャパニーズベースラインシリーズが勧められる2)。具体的には,背部(傍脊椎部)の外見上正常な場所に48時間試薬を貼付する(図3‒a,b)。刺激反応が誘発されず,感作をおこさないよう物質を調整するため,過去の文献を確認し貼付濃度や基剤を決定する。貼付した48時間後にパッチテストユニットを除去し,テープ除去に伴う刺激反応が消退する約1時間30分~2時間後に1回目の判定を実施し,貼付72時間後,または96時間後,そして1週間後に判定を行う(表1)。 接触皮膚炎の治療アルゴリズムを図4に示す。接触皮膚炎の症状を改善させるためには,まず,原因物質を避けることが第一である。同時に,治療としては,接触アレルギーをおこさないステロイド外用薬を選択し,炎症症状の強い場合には,局所作用の強いステロイド外用薬を使用する。皮疹が重度で広範囲に分布する場合,顔面の浮腫が強い場合,接触皮膚炎症候群により自家感作性皮膚炎を生じて汎発疹がみられる場合や発熱や倦怠感を伴う強い反応を示す場合は,ステロイド薬の内服が勧められる3)。なお,ステロイド薬,抗ヒスタミン薬アレルギー,薬剤の基剤成分のアレルギーの場合は,外用薬の選択に十分注意し,接触アレルギーをもつ薬剤や交叉反応をおこす薬剤を患者に説明し,内服・注射しないよう,生活指導を徹底する。 以下にそれぞれの治療薬について述べる。病態からみた治療薬の意義1.ステロイド外用薬 接触皮膚炎そのものでステロイド薬による外用効果を解析した研究では,ニッケル皮膚炎に対する前後比較試験や,ニッケル皮膚炎に対し2種類のステロイド外用薬の効果を非ランダム化試験で
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