*Yoshinori UMEZAWA,東京慈恵会医科大学,皮膚科学講座KEY WORDS患者さんに継続して薬を使ってもらうには,経済的問題を解消しないといけないよね。患者さんに質問されたときにしっかりと答えられるよう,薬価や助成費制度について解説するね。 生物学的製剤は,既存の治療法に比べ有効性が高く,臓器障害が少なく,利便性が高いなどの利点がある。そして,従来の治療法で難治な症例に対しても,速やかに症状を改善することが可能となった。一方で,生物学的製剤の課題の1つに患者の経済的負担があげられる。治療計画を立てる場合,疾患の重症度,生活の質(quality of life;QOL),合併症,薬剤の有効性,安全性などの種々の因子を考慮し患者に提案する。そして,患者の経済的負担に関しても考慮する必要性がある。しかしながら,経済的問題に関して患者に質問することは躊躇する事項でもある。 患者の治療費負担額を算出するポイントは,① 薬剤費を知る,② 高額療養費制度の仕組みを理解する,③ 付加給付金の有無を確認する,などがあげられる。これらの事項を理解することで,負担額を概算できる。 本項の治療費負担は,2023年時点のものを基本に算出している(表1)。また,乾癬の治療法は多数存在し,薬剤も先発品と後発品がある。これらの事項をすべて網羅することは困難であるため,本項では使用頻度の高いもので先発品中心の記述とした。 乾癬患者会で行われたアンケート調査によれば,患者が希望する月額負担額は5,000~10,000円程度とされている1)。5,000~10,000円/月で可能な治療法を図1—a,bに示す。5,000円/月では,ナローバンドUVB療法(n-UVB)1回/週,エトレチナート(チガソン®)10 mg/日+ステロイド・ビタミンD3(ス・D3)配合薬,シクロスポリン(ネオーラル®)100 mg/日+ステロイド外用などがあげられる。ス・D3配合薬の使用量が50 g/月を超えると,約5,000円/月となり,乾癬,治療費,生物学的製剤乾癬の患者さんに生物学的製剤の費用について聞かれましたが,うまく答えられませんでした。乾癬にかかわらず,皮膚科領域に関する経済的なトピックについて知りたいです。梅澤 慶紀*297985985アドバンストステージ5,000円/月,10,000円/月の治療皮膚科と社会Ⅰ皮膚科における高額医療と自己負担
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