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*Takuya MIYAGAWA,東京大学医学部,皮膚科学教室KEY WORDS皮疹がよく見えないと写真の価値がなくなってしまうよね。フォーカスや露出の調整だけでなく,構図や背景にも気を配る必要があるよ。撮影のポイントを教えるね。 皮膚科と臨床写真は切っても切り離せない関係である。他人に伝える際,「下腹部に手拳大で褐色調の境界明瞭で環状を呈する表面粗造な局面」と言うだけより,臨床写真を添えて説明するともっと伝わりやすい(もちろん文字だけでも他人にしっかり伝わるような訓練も大事である)。学会や論文発表の際にもしっかりとした写真があるのとないのとでは発表の質が変わってくる。また患者の経過を確認する際にも,カルテの「色調は薄くなり経過良好」という文字だけを見るより,写真で実際に経過を確認できたほうが自分あるいは患者も深く納得することができる。 このように臨床写真を撮影して記録に残すことは皮膚科医にとって大切なことであるが,なかなか時間を取って説明を聞いたり勉強したりする機会はないのが実情である。本項では少しでも先生方の日々の診療に役立ててもらえるように,基本的,実戦的な項目に絞って説明を行う。なお,時間があれば参考文献にあげた文献も見てもらうとより知識が深まるので確認されたい。臨床写真,一眼レフカメラ,ピント,露出,構図論文を投稿したら「写真のクオリティが悪い」と言われてしまいました……。皮膚科の臨床写真を撮影するポイントを教えてください。スマートフォンで撮影しても大丈夫ですか?宮川 卓也*10101010322パワーアップエッセンス撮影の準備1.カメラの準備 まず冒頭の若手医師のセリフのように「スマートフォンで撮影しても大丈夫ですか?」に関しては,皆一度は考えたことがある内容かと思う。スマートフォンのカメラ,コンパクトカメラ,一眼カメラなどさまざまあるカメラで異なっている要素の1つは「イメージセンサー(撮像素子)」である点をまず覚えておきたい。このセンサーはレンズから入ってきた光を感知し,デジタル画像を作る。センサーのサイズが大きければ集められる光量は多くなり,色鮮やかで高画質な画像Ⅰ臨床写真の撮り方

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