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プライベートパーツ診療の実際図1 陰部乾癬187985985皮膚科の臨床 Vol.66 No. 7 2024 湿潤して蒸れる部位であり,また有毛部でもあるので,使用感の観点から軟膏はべたつくため敬遠されやすく,クリームや乳剤性ローションが好まれる傾向がある。しかしながらクリームや液剤を粘膜に塗布すると刺激感を生じるため(その大きな理由のひとつは基剤に含まれるアルコール成分と思われる),亀頭包皮部,女性外性器,肛門周囲に使用する場合は軟膏基剤のものが無難である。アトピー性皮膚炎の治療の基本はステロイド外用薬であるが,ステロイドを選択する場合はミディアムクラスのものから開始し,経過に応じてランクを変更するのがよい。近年登場したデルゴシチニブ軟膏,ジファミラスト軟膏は皮膚萎縮の心配がなく,使用しやすい。ただし粘膜には塗布しないようにとの注意記載がある。1999年に発売されたタクロリムス軟膏も皮膚萎縮の懸念がなく,実臨床では使用される例が多いと思われるが,添付文書上は上記のように外陰部には使用不可となっている。1.アトピー性皮膚炎2.脂漏性皮膚炎 脂漏性皮膚炎は間擦部が好発部位で陰股部にみられる場合があるが,ステロイド外用薬はミディアムクラスのものを基本とし,脂漏性皮膚炎に適応のあるケトコナゾールを併用するのもよい。3.尋常性乾癬 外陰部では通常の乾癬とは異なり,鱗屑がほとんどみられず隆起のない紅斑としてみられることがありインバース乾癬とよばれる(図1)。インバース乾癬は間擦部位が好発部位で,腋窩,乳房下,鼠径部,性器,大腿内側などにみられる。 陰部乾癬の症状は,境界明瞭で鮮やかな紅斑を認める場合が多く,湿潤と浸軟により他の乾癬では典型的な症状である鱗屑を伴わない症例が多い。また痒みをⅢ基剤の選択Ⅳ各種疾患に対する外用療法Ⅱ

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