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2鑑別診断の実際968968170論文のポイント⃝プライベートパーツのダーモスコピー像は,生毛部と粘膜の所見が混在する。⃝メラノサイト系病変の場合,生毛部と粘膜の所見が異なるが,非メラノサイト系病変は部位を問わず同様のダーモスコピー所見を呈する。⃝粘膜では,正常な状態でも血管所見が目立つため,病変部と正常部の境界を見極める必要がある。*KenichiroMAE,東京医科大学,皮膚科学分野ダーモスコピー,粘膜,非メラノサイト系病変 プライベートパーツの診察は,患者にとってデリケートな問題である。意を決して病院を受診する患者も少なくない。そのため,患者のプライバシーに配慮した診察が求められる。十分かつ短時間で診察をするのが望ましい。そのため,臨床写真,ダーモスコピー写真をひとつのカメラで撮影することが可能であるダーモスコピーは,プライベートパーツの診察にも有用である。ゼリーをつけずにダーモスコピー写真を撮ることもできる。 色素を有する病変のダーモスコピー所見の多くは,メラニン色素によって規定されるが,表皮突起の状態,毛包の有無などが,部位によるダーモスコピー所見の違いに寄与している。 顔面では,表皮突起が目立たず,毛包脂腺が発達しているため,pseudonetwork(偽色素ネットワーク)を認める。生毛部では,表皮突起が発達しているため,pigment network(色素ネットワーク)を認める。掌蹠では,皮溝,皮丘が平行に走行しているため,parallelパターンを認める1)。プライベートパーツである,男性の陰茎包皮,陰囊,女性の小陰唇の外側は生毛部であるが,男性の亀頭,女性の小陰唇の内側は粘膜である。プライベートパーツの粘膜の上皮は重層扁平上皮で,顆粒層は通常認めず表皮突起も目立たない。特徴的な構造がないため,粘膜のメラノサイト系のダーモスコピー所見は特異的な所見が乏しい。一方,非メラノサイト系の病変は,いずれの部位においても,共通のダーモスコピー所見を示すことが多い1)。点状の血管を認め,冠状溝では,縦に走行する線状血管を認める(図1a,b)。真珠様陰茎小丘疹(pearly penile papules)は亀頭冠,冠状溝に沿って配列する1~2 mmの常色の丘疹であり,1.男性の亀頭はじめにⅠ生理的状態のダーモスコピー所見6)プライベートパーツ病変のダーモスコピー診断前 賢一郎*

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