2itary adenoma/pituitary neuroendocrine tumorの症例を提示する。それぞれの腫瘍の一般的な特徴については成書を参照していただきたい。 脳腫瘍の画像診断では他の領域の腫瘍の画像診断と同様に病変の病理診断を予想することは重要ではあるが,腫瘍の局在,サイズ,性状,周囲組織(脳・脳神経や,血管,骨など)との関係などを記載することも重要と考える。脳腫瘍は神経合併症を極力出さないように手術・治療を行うことが重要となるため,他の領域の腫瘍と異なり腫瘍の完全切除が困難であることも少なくない。そのため術後合併症,残存腫瘍や再発などに関する術後の画像診断も,臨床的には術前画像診断以上に重要な部分もあると個人的には考えているが,本稿では術前の画像診断についてのみ記載する。1)症例1 症例は40歳代,女性。 2カ月前より,短時間で終了する痙攣発作を数回認めたため受診。その他神経学的異常所見なし。① 画像所見 右中心前回から右中心後回にかけてmass effectを有する境界明瞭~一部不明瞭な長径45 mmのT2延長病変を認める(図1A)。病変は全体的に皮質のinvolvementが目立ち,右中心前回の皮質~皮質下にT2強調像高度高信号,かつFLAIR像では低信号で辺縁部に高信号域を有する部位を認める(図1B,C)。病変には造影効果を認めない(図1 D)。CTにて石灰化は認めなかった(非掲載)。② 病理診断 oligodendroglioma, IDH—mutant, and 1p/19q—codeleted, CNS WHO grade 3。核分裂像:7個/10拡大視野,Ki—67陽性率:16%と部分的に高い部位あり。③ 考 察 成人のdiffuse gliomaの症例である。右中心前回の一部にあたかも“T2—FLAIR mismatch sign”で認めるような信号パターンの部位がある。読影時にはこれを本サイン陽性と考えastrocytomaを強く疑ってしまったが,1p/19q—codeletionを認めたためoligodendrogli-omaの診断となった。本例のように病変の一部分のみにこのような所見がある場合には本サイン陽性(=astrocytomaの強い疑い)とはいえないという点が非常に重要であった。皮質のinvolvementが目立つのは,oligodendrogliomaに合致する所見である。本例はCTにて石灰化を認めなかったが,石灰化はoligodendrogli-omaにおける特異度は高いが感度はあまり高くない所見である。また本例はMRIではlow gradeを疑ったが,病理学的にはhigh grade(CNS WHO grade 3)と診断された。④ adult—type diffuse glioma gliomaは比較的まれな疾患であるが,しばしば遭遇する疾患である。gliomaはWHO 2021脳腫瘍分類においてWHO 2016脳腫瘍分類からの変更が大きかった項目の1つである2)3)。WHO 2021脳腫瘍分類に基づくgliomaの診断には分子診断が必須のものが多いため,病理診断を予想する場合には放射線科医にもこれらの理解が必要となる。 成人の脳腫瘍の症例を読影する際,まずadult—type diffuse gliomaか否かの判断も難しい症例はあると考えるが,経過などもあわせadult—type diffuse gliomaが強く疑われる症例は存在する。WHO 2021脳腫瘍分類では,adult—type diffuse gliomaはastrocytoma, iso- citrate dehydrogenase(IDH)—mutant(CNS 1142臨床放射線 Vol. 67 No. 11 2022画像診断レポート作成のポイント
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