TTB3ともある。早期の下咽頭および喉頭癌では内視鏡検査や喉頭鏡検査でも診断可能であるが,過小評価になることがあるため,CTもしくはMRIを併用することで診断精度が向上する。リンパ節転移や遠隔転移の診断はCT,MRI,PETなどにより総合的に判断される。頭頸部癌の画像診断は,化学療法や放射線治療を手術に組み合わせた集学的治療を想定した治療前の正確な腫瘍の進展範囲の診断や病期診断が不可欠といえる。わった。DOI測定値によって,病期診断が変わるため,舌癌の画像診断レポートにおいてはDOIの記載が必須といえる。深達度の測定方法として,腫瘍に隣接する健常粘膜の基底膜をもとに水平基準線を設定し,水平基準線から腫瘍最深部までの垂線を引き,計測する(図1)。画像診断では粘膜表面と基底膜は画像的に区別困難で,腫瘍に合併した周囲の炎症や浮腫の影響もあり,病理組織の測定値よりも大きく測定されることが多い。2)鼻副鼻腔癌 鼻副鼻腔癌では眼窩進展は治療計画・術式選択などに関与することから,重要な評価項目となる。眼窩への進展は眼窩底,眼窩内容前部,眼窩尖部の評価により判断する。眼窩底はCTの冠状断像で板状の骨構造として確認される。眼窩骨膜の破綻の有無は手術における眼窩内容温存か摘出かを判断するうえで重要となる。眼窩底への進展はT3に区分され,眼窩底に接する軟部濃度や骨吸収を伴う軟部濃度の所見として認められる。眼窩内容前部への進展はT4aに1216AA図1 舌癌(70歳代,男性)A,B:造影CT(A:横断像,B:冠状断像)右舌縁部に潰瘍形成を有する腫瘤性病変(T)を認める。冠状断像にて水平基準線から腫瘍最深部までの垂線を引き測定すると,深達度(DOI)26 mmで,舌癌T4a相当の所見である。臨床放射線 Vol. 67 No. 11 2022画像診断レポート作成のポイント1)口腔癌 口腔癌には舌,口腔底,歯肉,頰粘膜,硬口蓋などが含まれる。この中で最も頻度が高いのは舌癌である。腫瘍の深達度は疾患特異的生存率と有意な相関を示すと報告された2)ため,American Joint Committee of Cancer(AJCC)第8版の改訂から重要な評価項目として口腔癌に深達度であるdepth of invasion(DOI)が加
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